Archive for the ‘財産管理・成年後見’ Category

認知症保険と司法書士

2021-09-17

認知症。医療の進歩による平均寿命が長くなったことにより、多くの方が認知症になってから亡くなるという流れになっています。

ご自身が認知症になることに漠然とした不安を抱えておられる方は多くいるでしょう。

ただ、認知症になった時、何が不安なのでしょうか。

親族に迷惑をかけること?

施設への入所契約? 

自宅の処分?

金銭面での不安?

色々あるでしょう。

しかし、具体的にこれが不安だという要素が分からないという人もおられるのではないでしょうか?

そうなんです。

認知症になるとすぐに問題が起こることはないのです。

認知症になった後、自宅の処分が必要になったり、銀行口座が凍結したりして始めて困るのです。

認知症は、他の問題と複合して初めて課題となり得るのです。

逆に言うと、司法書士などの専門家や生命保険などで、認知症単独の対策を行うことなど本来ないのです。

司法書士や保険屋さんが行うのは医療ではなく、財産の量や流れを決めることに過ぎないからです。

かといって、後見や生命保険が無力かというとそうではありません。

お金がしっかりとあり、流れも決まっておれば、認知症は恐るものでは無くなるからです。

例えば、まだ認知症保険などの商品を契約できる状態であれば、将来認知症と診断された後の資産形成が可能かもしれません。

さらにそのお金をどのように利用して欲しいかを司法書士に相談して、任意後見契約をしておけば、保険金はご自身の意思に基づいて利用されていきます。

認知症保険を組む場合は、司法書士にも声をかけてください。

お金がたくさんあっても、認知症になってしまえば、自分の意思通りに動かせないかもしれません。

せっかく認知症対策をしても自分のために使えないのであればそれは誰のための保険なのでしょうか。

お金の量、流れ、このどちらも対策して初めて認知症対策です。

昨今、CMなどでも認知症対策保険がよく取り上げてられています。

ぜひご興味がある方は、当事務所までご連絡ください。

認知症と遺言

2021-09-15

認知症になると、日常の様々なことに制限が発生します。

代表的なもので言うと、不動産売却ができなくなる可能性があります。

司法書士としても、意思確認をする場面、認知症の気がある方は特に気を使って意思確認をしています。

他にも施設の入所契約ができなくなるかもしれません。

預金が引き出せなくなる金融機関が発生します。

株式・有価証券の処分ができなくなります。

こういった不都合が色々出てくるのです。

この対策として、「成年後見制度」が存在します。

成年後見制度を利用し、管轄の家庭裁判所から成年後見人が選任されることにより、上記のような不都合を解消することが可能です。

ただ、あくまで現行の成年後見制度は「対処療法」でしかありません。

不都合が出たから仕方なく選任するというイメージが近いのです。

ただ、成年後見制度では実現できない問題があります。

それは「遺言」に関する問題です。

遺言、最後の意思表現と言えるかもしれません。

自分が死んだときに残っている財産をどう承継していくのかを示したり、時には家族への最後の気持ちを書き遺すことも多いです。

遺言の中で気持ちの部分については当然、どんな状態でも書き遺すことができます。

ただ、承継方法についてはこうはいきません。

遺言の作成は、「法律行為」です。

この法律行為には、意思能力が必要なのです。

意思能力、何のことでしょうか。

民法上では「自己の行為の結果を弁識するに足りる能力」と規定されています。

要するに、「自分がした契約等の結果どうなるのかを認識できるか」ということになります。

例えば、認知症の方が、施設の入所契約をする場合。

契約締結後に「なんで家から出ないといけないの??」となってしまうと、意思能力が不十分ということになるでしょう。

しかし、預金通帳から現金を引き出した結果お金が無くなる。この程度の理解であれば、多くの方に残っているでしょう。

そうです、この意思能力というのは、事案ごとに足りているか不十分かが判断されるのです。

では、遺言の作成はどうでしょうか。

「長男に全ての財産を相続させる」という単純な内容を作りたいとしましょう。

自分の財産が全て長男に行く、これは理解できるかもしれません。

ただ、この遺言を作れば、長女はどうなるか。次男の生活はどうなるか。

ここまで理解できているかというとどうでしょう。

こうなると、最後にうまくプレゼンした人に有利な遺言を作ってしまうということもあり得るのです。

これでは遺言作成に必要な意思能力があるとは言えないでしょう。

あくまで自分の財産を残した結果、相続人がどうなるのか。ここまでは理解してほしいと思います。

この辺り、より詳しい話も引き続きしていこうと思います。

 

高齢者施設で窃盗。犯人は・・・

2021-09-08

成年後見をしている司法書士として見逃せないニュースを見つけたので本日はそのニュースを共有したいと思います。

もし今施設に入所中の親族がいるという方は、このニュースを見て、もう一度成年後見についても考えてみてください。

 

今回の事件があったのは、神戸ではなく、福岡市でした。

犯人はなんと有料老人ホームの元施設長です。

窃盗というと、空き巣的な犯行かと思われたかもしれませんが、そうではありませんでした。

老人ホームに入所中の方が預けていた預金通帳から不正に出金し着服したというもの。横領に近いものですね。

正直、老人ホーム側にこれをやられてしまうと防ぎようがありません。

老人ホームに入所中の方は、特にこの時期なので外出が制限されています。

ただ、日常の嗜好品であったり備品類は補充が必要です。

それらにために使うごとに毎回ATMへ・・・

となるとどうしても負担が大きくなります。

かといってホームの部屋に大金を置いておくのも不安です。

そうなるとやはり、施設やヘルパーさんにお金を預けるのが安全面でも利便性の面でもメリットが大きいと考えるようです。

ただ、施設であれヘルパーさんであれ、人の預金・現金を預かる権限はありません。

施設契約にもヘルパーさんとの契約にも、それらの権限は含まれていないからです。

なので、施設にお金を預けることはできないというのが基本的な考え方であり、実際高額な金銭・預金通帳・カード類は預かってくれない施設が増えています。

かといって、日常の金銭管理が面倒な状況は変化ありません。

そうなると、親族あるいは成年後見人が登場します。

毎月必要な額を、お小遣いとして差し入れたりすることによって安全面を担保しつつ利便性を上げることができます。

また、不正な出金がないかも裁判所が監査することになるので、総合的な安全面を上げることも可能です。

日常の金銭管理に不都合がある、施設が対応してくれないという方は是非成年後見制度のご利用を考えてみてください。

 

最後に、今回の事件が「業務上横領」にならなかったことについて。

私たち司法書士が成年後見人として、金銭を横領すると十中八九「業務上横領」になります。

これは成年後見人が、金銭管理をする権限があることに由来します。

管理権限のあるものが横領して初めて業務上横領なのです。

そうなると今回の施設長はやはり、権限がないという扱いなのでしょう。

大事な財産はしっかりと権限のある人に預けましょう。

 

成年後見のキーマン

2021-08-25

私たち司法書士は、成年後見業務を多く行なっている専門家です。

ホームページ内で何度もお話をしていますが、成年後見とは、認知症であったり障害がある方の財産管理をサポートする業務です。

よく勘違いされていることがありますが、成年後見人は直接高齢者の方の体のケアなどを行うわけではありません。

しかし、成年後見人の業務は「財産管理」と「身上監護」だと言われています。

この身上監護というのが、体のケアまですると思われている要因でしょう。

ただ、正確には、「財産管理をする中で、身上面のケアをしてくれる施設や専門家にしっかりとお金を回していく」ことが業務内容となり、これが身上監護ということになります。

となると、被支援者にとって一番身近な存在はやはり「ケアマネージャー」であったり、「地域連携室の方」ということになります。

これは、成年後見人が介入した後でも変わりません。

成年後見人は、あくまで被支援者のサポートの輪に入り、各サポートメンバーが力を発揮できるように財産状況を精査したり、関係調整を行うことになります。

ケアマネージャーさんが身上面のケアに集中できるように、訪問診療の方が診察に集中できるようにすることで、被支援者にとってプラスになります。

最後は、何もしなくともケアが回っていくような環境を目指して業務を行なっていくのです。

 

ここまで、お話をした中で、「では、成年後見人をどうやって輪に入れればいいのか」ということが気になった方がおられるかもしれません。

当然、成年後見の依頼は、親族の方からの直接依頼というのも多くあります。

ただ、圧倒的に多いのはやはりケアマネージャーさんなどの福祉関係の方からのご紹介です。

こういった業種の方は、体のケアが本来の業務ですが、財布や通帳の管理まで頼まれて行っていることがあります。

被支援者がしっかりしていて、かつ、親族の理解も得られているという状況であればまだしも、そうでない場合は、後々「お金がなくなった」「通帳を盗られた」となるケースは非常に多いです。

にもかかわらず、ケアマネージャーさんが財産管理を行っても、利益が増えるわけではありません。

つまりリスクだけを背負い込み、何のメリットもありません。

財産管理を頼まれたタイミングで、司法書士へ相談してみましょう。

成年後見人の報酬は「裁判所が財産額を見て」決定します。

つまり成年後見人に頼んでも、本人さんの生活レベルが下がるわけではないのです。

むしろ私たちが介入することでしっかりと家計を見直しますので、長期的に見ればプラスとなることが多いです。

もし、日常業務でこういったケースを抱えているケアマネージャーさんなどは当事務所までご連絡ください。

任意後見の前段階

2021-08-20

認知症になる前に、認知症になった時の対策をする制度、「任意後見」。

この制度は、現行の成年後見制度の欠点である、「融通が利かない」点を解消するべく少しずつ普及している新しい制度です。

司法書士が任意後見人になることも増えてきています。

具体的には、認知症になる前の認知能力がしっかりと残っている段階で、公証役場の公証人の先生を交えて任意後見契約を結びます。

この任意後見契約には、認知症になった後の財産管理の方法を決めておきます。

認知症にる前に、自分の意思を残しておくことで、本人の最後の意思を実現すべく、任意後見人が契約通りに契約を遂行していくのです。

これは、認知症になった後、後見人が登場する成年後見制度とは大きく違いがあります。

成年後見制度はどうしても認知症になった後に登場する関係で、本人の意思を全てくみ取ることができないのです。

この任意後見を上手く利用すれば、融通が利かないこの制度の穴を埋めることができるのです。

 

ただ、この任意後見制度にも欠点があります。

これは、成年後見制度でも同じことが言えるのですが、~後見となっている制度は、「身体的な障害」については対象外なのです。

ただ、認知症・高齢者の財産管理となると、身体的に財産管理が難しいという方も多くおられます。

この場合どうすればいいのでしょうか。

この場合に登場するのが「財産管理等委任契約」という制度です。

この制度は、認知能力はしっかりと残っているが、身体的に財産管理ができない。

現在は認知能力があるが、不安が強まってきたので今の内から財産管理を任せたいといった、後見がカバーできない範囲をカバーする制度なのです。

しかし、この財産管理等委任契約には大きな問題点があります。

それは、財産管理を監督する人がいない。

という点です。

~後見であれば、裁判所が必ず後見人の財産管理を監督します。

ただ、財産管理等委任契約では、本人の認知能力が残っている関係で「本人が監督する」という設計になっているのです。

となると、財産管理等委任契約は、~後見以上に「誰に依頼するのか」が大切になってくるのです。

では、その時に何を根拠に決めていけばいいのかというと。

これはかなり難しい問題です。

はっきりこういう人に任せるべきというのは分かりません。

ただ、一つ信用度が上がるのが、「リーガルサポートに所属している司法書士」に依頼するべきです。

これは、私がそうだからという訳ではなく、リーガルサポートの制度上の信頼感によるものです。

リーガルサポートに所属している司法書士が。財産管理等委任契約を結ぶ場合、リーガルサポートが契約に関与するのです。

裁判所ほどの監督能力があるかというともちろんそうではありませんが、当事者以外の第三者機関が契約に関与することは、委任する本人にとっては大きなプラスです。

財産管理等委任契約は、「誰に頼んでいいか分からない」という段階で契約すべきではありません。

何度も相手の話を聞き、ホームページでの情報開示を見て、それでも不安であれば司法書士会へ問い合わせなどをしてもいいかもしれません。

~後見以上に慎重に財産管理者を選ぶことを心がけましょう。

この制度が気になったという方は、是非当事務所までご連絡ください。

もちろん、契約に至らなければ無償という形式でご対応します。

お盆休み

2021-08-09

お盆休みに忙しくなる職業の方もおられるでしょう。

お寺関係の方、お花屋さん、聞く話によると金融機関の窓口担当の方、旅行関係の方等々。

この暑い時期にお忙しい方には頭が下がる思いです。

一方、私たち司法書士は、一年で最も暇な時期ではないでしょうか。

不動産関係のお仕事も落ち着きますし、親族が集まってくるこの時期にわざわざ債務整理を依頼するという方も少ないように思います。

ただ、今年に限って言うと、予想外に慌ただしく業務をすることになりそうです。

その理由は、成年後見業務に力を入れているからです。

成年後見については何度かお話をしていますが、要は、「認知症・高齢者の方々の財産管理をサポートする」業務のことを言います。

この成年後見業務。親族が集まる場面で依頼をするかが決まるということが多くあるのです。

例えば、高齢のお父様の財産管理を奥様がしている場合を考えてみましょう。

夫婦の場合、年齢にそこまで差がないことが多いので、旦那様に財産管理面でサポートが必要な場合、遠からず奥様にも必要。ということがよくあるのです。

しかし、親族など、財産管理においては第三者という立場の方がいなければ、奥様の財産管理が危ういということに気づきません。

通常、そのようなパターンでは、ケアマネージャーさんであったり、地域連携の相談員さんなどがサポートをしてくれるのですが、夫婦健在という方にはこのような関係性の人はまだいないということがあり得るのです。

そうなると、アドバイスをしてくれるのが親族だけということになるのです。

そして親族が集まる場面と言えば、正月・お盆等々ということに繋がり、僕のような司法書士へ声がかかるということに繋がるのです。

実際、このお盆の期間、施設や病院への連絡をしなければなりません。

そして、このお盆の時期に、成年後見業務を依頼することは大正解です。

理由はいくつかありますが、まず、「親族の同意の上で成年後見業務を依頼できる」ということが挙げられます。

成年後見業務は、人の財産を代わりに管理します。

場合によっては、両親の財産を突然見ず知らずの司法書士に管理されることになり、よく思わない親族さんは少なからずおられるのです。

また、「身上監護面での情報を集めやすい」という点もメリットです。

これまでの本人さんの病歴・生活面での情報を親族さんと共有することで、より本人さんに合ったサポートを司法書士として行えるのです。

最後は、「財産管理の方針を共有できる」という点も大きいです。

財産としての持ち家を将来的に処分するのか、残った財産はどのように承継させていくのか等々、より長期的に財産の行く道を考えることがこのお盆というタイミングなのです。

もし成年後見等に興味がある方は、当事務所までご連絡ください。

お盆中でもできる限りご対応いたします。

認知症後のお金の使い方。

2021-07-30

私の事務所は、成年後見にも力を入れて業務を行っております。

成年後見とは、認知症や精神上の障害により、自分だけでは財産の管理や各種契約ができな場合に、司法書士などの専門家や親族が裁判所から選任されることで、本人のサポートをする制度です。

現状、親族を除いた資格者の中では司法書士が一番多く選任されており、不動産登記・商業登記と並んで、司法書士の中心業務と呼ばれる業務です。

さて、この成年後見制度には中々融通が利かないことが多くあります。

認知症などが理由で判断能力が失われた、若しくは不足している方の財産を管理する以上、本人のためにお金を使うことしかできないのです。

例えば、後見人を付けた、被支援者(被後見人と言います。)が賃貸不動産を持っていた場合。

成年後見人を付ける前であれば、より賃貸不動産の価値を上げるために、大規模なリフォームを行ったりすることができます。

ただ、成年後見人が付いてしまうと、本人の意思が分からないために、投機的行為ができなくなるのです。

そのため、雨漏りの改修といった小規模でかつ必要最低限の修繕はできますが、より不動産価値を上げるための大規模リフォームは基本的にはできないのです。

他にも、息子や孫へ暦年贈与を行い、相続税を節約したりというような税金対策的なこともできなくなります。

この理由は、あくまで成年後見制度は「本人のために」お金を使うことが念頭に置かれているからです。

相続税の対策は、本人の死後の節税であり、本人のためではないのです。

これらの現状が、成年後見制度の限界点です。

この限界をカバーする形で普及し始めているのが、任意後見家族信託と呼ばれる制度です。

この制度は、認知症になる「前」に任意後見契約であったり家族信託のスキームを組むことにより、認知症になった後のお金の使い方、お金の残し方を決めておく制度です。

成年後見制度の限界点が、本人の意思が分からなくなることに起因する以上、意思があるうちに道筋を決めることで、この問題点を解決することができるのです。

では、いつ任意後見契約等を考えればいいのかというと、この時!!というのは中々言えないです。

というのは、事故や病気で急に認知能力が失われる可能性は誰にもあるからです。

仮に今日、任意後見契約をしても発動は20年後かもしれません、

逆に、明日任意後見契約をしようと思っても、今日判断能力が無くなるかもしれないのです。

この辺りは、保険に近いようなところがあります。

いつか来る認知症にいつから備えるかは、その方次第なのです。

ただ、保険との違いは、任意後見契約は、定め方によっては、ランニングコストがかかりません。

この辺りは保険との大きな違いとなるでしょう。

将来の認知症対策、終活に興味がある方は是非当事務所までご連絡ください。

死後事務委任と無縁仏

2021-07-19

司法書士は、成年後見など認知症の方、高齢者の方の財産管理を多く受任している士業です。

家庭裁判所から選任される数は、弁護士などの他の士業よりも司法書士が多いのが現状です。

つまり、高齢者・認知症の方と一番多く接する士業が司法書士と言っても過言ではないかもしれません。

さて、高齢者の方々と多く接する場合、避けては通れないのは、被支援者の死です。

人間だれしも最後は死ぬことになります。

では、自分が死んだ後は誰が葬儀の手配や、相続の手続きをするのでしょう。

例えば、同居の親族がいる場合。

多くの方は親族の手によって葬儀が執り行われ、相続手続きについても相続人が事務処理をしていくことになるでしょう。

ただ、司法書士等の士業が財産管理人となっている方は、相続人・親族の方からご協力が得られないというケースも多くあります。

この場合は、どうなるのでしょうか。

まず、成年後見業務は、「被支援者の死」によって業務が終了するという法設計になっています。

つまり、認知症の高齢者が亡くなった時に、司法書士の業務権限は終了するのです。

司法書士は業務権限がなくなるので、権限のある方へ相続財産を引き渡すことにより業務を完了させて終わりなのです。(具体的には、相続人へ通帳等を引き渡して終了)

そうです、葬儀の手配であったり、相続手続きを成年後見人がそのまま行うことはできないのです。

とはいっても、先ほど言ったように、親族のご協力が得られない場合もあります。

その場合は、あくまで緊急事態ということで葬儀等の事務処理を行うことになります。

ただ、この場合の事務処理はあくまで最低限のことしかできません。

被支援者が生前に考えていた通りに事務ができるとは限らないのです。

例えば、先祖代々の墓があったが、その存在を知るものが被支援者だけだった。

死後の事務については具体的に決めていなかった。

という場合。

この場合、最悪は、無縁納骨堂へ・・・ということも十分に考えられるのです。

どうすればこれを回避できるのかというと、現状は二つの方法が考えられます。

一つ目は原則通り、親族の方から依頼を受けて、相続手続等を行う方法です。

相続人の方は、被支援者とは関わりたくないが、やらないといけないことは仕方ないというスタンスの方も多く、案外依頼を受けることも多いです。

二つ目は、死後事務委任契約をあらかじめ締結しておく方法です。

これは認知レベルが低下しきる前にしなければなりません。

しかし、きちんと契約をすることができれば、自分の思ったように葬儀等を行うことができるため、最後の意思表示を確実に実現することができます。

この死後事務委任契約、まだまだ普及しているとは言えないような状況です。

ただ、認知症・高齢者の方と多く接する司法書士の立場からすると、もっと利用されるべき制度だと考えます。

自分の最後の意思を実現させたい、親族には迷惑を掛けたくないという方は是非当事務所までご連絡ください。

認知症の場合の意思確認

2021-07-12

本日は、明石市内の病院に意思確認に行ってきました。

意思確認というのは、主に不動産取引の場合に当事者である、売主買主に登記申請意思があるのかを確認する業務のことです。

司法書士はたとえ権利証などの書類が揃っても、当事者の意思が確認できなければ登記が申請できないのです。

意思確認でよく迷うのは、当事者が認知症の場合です。

認知症=不動産を売買できないというイメージがありますが、厳密にはそうではありません。

認知症にも程度や、症状に違いがあり、認知症と診断されても、不動産取引ができる程度ということも十分にあり得ます。

判断方法は各司法書士により違いますが。一般的な判断材料としては、

・自分自身に関する情報が表示できる。(生年月日、名前、年齢等を答えられるか)

・不動産に関する記憶がはっきりしている(自分が所有している若しくは購入する不動産の性質や場所を答えられる)

・不動産の売却若しくは購入する意思を表明できる。

・動機を自分で述べられる。

この程度の判断能力はやはりほしい所です。

さて、そこで本日の意思確認ですが、まず、認知症の診断自体は出ていないとの聞き取りでした。

ただ、少し認知能力に不安があると関係者さんから聞き取ったため、不動産の契約の前から念のため意思確認へ動いたという感じでした。

実際に現場に行ってみると、口の動きが思わしくない様子。

ただ、あくまで問題となるのは意思能力であり、発話の能力ではありません。

先ほどの質問に対しても、ゆっくりとではありましたが、答えることができており、意思能力は問題ないという判断をしました。

立会人として、奥様にもご同席いただきましたが、第三者的立場として病院の看護師様にもご同席いただき、本人さんに意思能力が残っていることを確認できました。

このように、高齢者、特に認知能力の低下がある方の意思確認には、第三者を入れるなどの公平性も必要となります。

今回は、万が一相続になった場合の当事者である、配偶者の方にもご同席いただけるという状況でしたので、スムーズに手続きが進みました。

また、今回の配偶者の方は、万が一の場合は成年後見制度の利用にも前向きであり、私自身、際どい場合は成年後見制度を利用できるという状況でしたので、よりフラットな立場で判断をすることができました。

以上これは、意思確認を行った証拠としてもホームページ内に遺しておこうと思います。

 

今回は、認知症の診断がないパターンでしたが、仮に診断があった場合でも実際に会ってみないと意思確認はできません。

単に認知症の診断が出たからといって手続きをあきらめる必要はないのです。

あくまで認知症の診断は判断の要素でしかありません。

また、仮に意思確認ができない状態であったとしても、成年後見制度などを使えば、不動産を取引することは可能です。

認知症、成年後見で疑問がある方は是非当事務所までご連絡ください。

成年後見と自宅売却

2021-04-23

本日は、ご担当している成年被後見人さんのご自宅を見に行ってきました。

本人さんは、私が就任した時には既に施設に入所しており、数か月自宅を空けているという状況でした。

司法書士が関与した時点で施設に入っているというケースはかなり多いように感じます。

被後見人さん以外に家族もおらず、自宅に戻る可能性があるような身体的状況ではないので、老朽化する前に処分することを念頭に置いて自宅を見てきたわけです。

そもそも成年後見制度とは、本人が認知症や障害などで意志表示をできなくなったり、できにくくなった時に利用する制度です。

家庭裁判所へ親族や本人が申し立てることにより、成年後見人保佐人補助人)が選任されます。

成年後見人が選任され、審判が確定すると、成年後見人が本人に代わり身上監護や財産管理を行っていくことになります。

さて、今回のようなケースでは、本人に代わって成年後見人が不動産の売却手続きを行っていくことになります。

前述のように、成年後見人は本人に代わって財産管理を行うため、不動産の売却についても基本的には成年後見人が自らの判断で、本人のために行動していくことになります。

ただ、不動産の中でも、本人の住んでいる不動産であったり、施設入所前に住んでいた不動産は特に「居住用不動産」と呼ばれ、その他の不動産とは扱いが変わります。

具体的には、居住用不動産を処分するために「裁判所の許可」が必要となるのです。

理由としてはやはり、居住用不動産が本人のために持つ意味が他の財産と比べて大きいことに由来します。

成年後見人は、本人の財産状況であったり、対象不動産に戻ることができる可能性、一部意思表示ができる方に関しては意向も伺いながら処分の可否を決めていきます。

その上で、対象不動産の処分が相当と判断した場合には、裁判所に対して売却許可の申し立てを行うのです。

その際、申立書と合わせて、買付書であったり、売買契約書、相見積書、鑑定書等を添付しながら、条件面も含めて裁判所と協議を行うのです。

そして許可が出れば実際に売買契約、所有権移転登記等を行い、手続きを進めていくのです。

この許可書には、居住用不動産の売却に法的効果を与える他にも大きな役割があります。

それは登記面です。

成年後見制度を利用している方というのは認知レベルが低下しているため、権利証等の登記に必要な書類を紛失していることが多いです。

しかし、登記には権利証(登記識別情報)が必要です。

権利証がないから手続きが進められないのでは、不動産価値が下がってしまいます。

そこで、裁判所の許可書があれば権利証がなくとも登記ができるという扱いになっているのです。

このように、二つの重要な意味を持つのが、裁判所の許可書です。

今回の案件でも、いずれは同じように進めていくことになりますので、私の知識を整理するためにも今日は書かせていただきました。

今後もプライバシーに注意しながらこの案件についても書いていきたいと思います。

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