Archive for the ‘不動産登記’ Category

生前贈与のご依頼

2021-07-09

最近、生前贈与登記依頼が増えてきています。

終活であったり、生前整理といったキーワードが世間的にも認知されてきたことが一つの原因かもしれません。

ただ、司法書士が関与する生前贈与はいわば、最後の場面だけです。

「贈与を原因とする所有権移転登記」これができる士業は司法書士だけですが、生前贈与で重要なのは「そもそも贈与した方が良いのか」を検討する段階です。

というのは、贈与には贈与税という税金がかかるのです。

この贈与税、税金の中でも税率が高いものであり、また、元々の計算の基礎となる額も大きくなるため、税額も非常に大きなものになります。

そのため、「ただ今のうちに贈与しておきたい」という程度の漠然とした希望だけでするのは危険な手続きなのです。

最近多く依頼を受けた生前贈与の案件もその多くは税理士先生のご紹介が始まりでした。

相続時精算課税制度、配偶者控除などの税制を用いながらより負担の少ない形での贈与を実現していく中の最後の手続きを私が行ったということです。

ただ、それでは「司法書士は手続きだけをするのか」というと必ずしもそうではありません。

例えば、今回依頼を受けた案件では、税制の他、「遺留分」の対策、「後の相続人での紛争を防ぎたい」というご要望もあり、税理士先生とご一緒して、手続きのご説明を行いました。

遺留分であったり相続問題というのはやはり私たち司法書士のフィールドになります。

この場合には、司法書士も税理と同じく、手続き選択の際に頼れる専門家となるわけです。

では、結局どこに最初に相談すればいいのかというと、「一番実現したいことによって変わる」というのが一応の答えとなります。

例えば、「相続財産が多いので、相続税の対策を今の内からしたい」という場合は、先に税理士の先生を訪ねた方が話は早いです。

税金の面ではなく、「相続人に音信不通の人がいるため、今の内から何とか解決したい」であったり、「前妻との間に子供がいるから相続で揉めないようにしたい」等々、法律的にスムーズな遺産承継を目指したい場合は私たち司法書士を頼っていただいた方が確実です。

これはあくまで「最初に頼る先生はどちらか」というだけであり、税理士の先生に依頼してもどこかで司法書士は登場しますし、私の事務所へ最初に来ていただいても、いずれは税理士の先生と連携することになります。

大切なことは「自分だけでは決めない」ことです。

世の中には色々な専門家がいます。

ご自身の希望を実現するためには、世の中に多くいる専門家を上手く活用することが大切です。

「どこに相談していいかわからない」という方はまず、当事務所の無料相談をご利用ください。

 

登記のオンライン申請と「空申請」

2021-07-02

現在、多くの司法書士登記申請をオンラインで行っております。

当然ですが、最初からオンラインの方式があったわけではなく、情報通信技術の発展などが理由で、平成17年ごろからオンライン申請が開始されました。

今となっては、管轄の法務局に申請に行く必要がなくなり、一部の登記を除いては全国各地どこの法務局にも即時に登記申請を行うことができます。

ただ、このオンライン申請、開始されてすぐに今のように普及したわけではありませんでした。

平成17年に制度が開始されてもほぼ利用されることがなかったそうです。

その理由は、公的個人認証の普及率が著しく低かったことが原因です。

具体的には、個人のお客様で「電子証明書」を発行できる人がほとんどいなかったのです。(これは今もそうですが)

平成17年当時、登記のオンライン申請は、個人の登記申請人が電子証明書を発行できることが必須でした。

電子証明書を発行できる個人がいなかった以上、登記のオンライン化も全く進まなかったというのが当時の実情でした。

潮目が変わったのは、平成20年。

オンライン申請に「特例方式」という方式が登場したことでオンライン申請は大きな転換点を迎えました。

特例方式とは、登記申請はオンラインデータで行うものの、添付書類である印鑑証明書・権利証などは郵送や持参などの方式を認めるというものでした。

これにより、電子証明書がなくとも印鑑証明書などの従来の本人確認でもって登記申請が可能となったのです。

これにより、事実上、オンライン申請を行えない登記は数を減らしますが、それでもすぐにオンライン申請が普及したわけではありません。

その理由は様々ですが、その一つに「空(から)申請の防止」があります。

登記は、申請日と申請番号が非常に重要であり、登記を申請した順番により登記順位が決定します。

そこで、オンライン申請を悪用し、実際の取引前に登記申請だけ行い、添付書類は後から追完することが技術的に可能になってしまったのです。

それを防止するために、オンライン申請の際は「登記原因証明情報」と呼ばれる、登記原因が起こったことを証する書面だけはオンラインデータで先に送ることを要求したのです。

そして平成20年当時のオンライン申請の審査は非常に厳しいものでした。

軽微な記入漏れであっても、空登記を防止するために取下げを求められるという事案が起こってしまったのです。

ミスがなければいいじゃないかという声も聞こえてきそうですが、オンライン申請でなく、書面で申請した時よりも当時は審査が厳しくなっていたようです。

そうなると、少しでもリスクを回避するためにはオンライン申請をしない方が良いと考える司法書士・金融機関が出てきたのです。

そして現在も、特にベテランの先生は「オンラインは融通が利かないから危険」と考え、書面で申請をしているそうです。

このように、「空登記の防止」という理由のため、審査が厳しくなりすぎたのがオンライン普及の足かせとなっていました。

現在は、書面であってもオンラインであっても同じような審査がされるため、多くの司法書士はオンラインを用いているということです。

このように、司法書士業界の歴史を調べてみるのも面白いものです。

これからは、オンライン申請も次のステージに突入するはずですので、しっかりと研鑽に励みたいと思います。

司法書士とブロックチェーン

2021-06-30

相続登記や所有者の住所変更登記が義務化されることはこれまでなんどもお話をしてきました。

これは、当事者が所有者のみ或いは、相続人のみで完結する登記であるため、義務化の当事者が少なくなるため可能になったのかもしれません。

ただ、本来、不動産登記の登場場面の代表と言えばやはり不動産取引の場面です。

不動産を売却する・不動産を購入するという場面で司法書士が関与し、登記申請を行います。

具体的には、印鑑証明書であったり、権利証を確認し、登記意思が間違いないことを合わせて確認していきます。

そして登記意思・申請書類に間違いがないことを確認した後、お金の動きにゴーサインを出し、その後お金の流れを確信した後登記申請を行うのが現在の司法書士のお仕事です。

 

住所変更登記等が義務化になるに伴い、住所変更登記・相続登記などは簡易的なやり方が普及していくことが予想されます。

ただ、一部の登記が簡易化すれば、他の登記も簡易化されることが予想されます。

そこで登場する技術がブロックチェーンと呼ばれるものです。

例えば、不動産取引の場面でブロックチェーンを絡めると以下のような流れになるかもしれません。

・売主買主で売買契約を行う。

・登記に必要な書類等をお互いで確認する。

・取引内容をネットで登録する。

・ビットコインなどの仮想通貨でもって決済が実行される。

・登記申請が同時に完了する。

このようになる可能性があるようです。

そうです、不動産取引の場面で司法書士が登場しないのです。

こうなってしまうと、不動産取引を業務の中心としている事務所は大きな打撃を受けるでしょう。

私のように、成年後見業務であったり、債務整理業務もやっている司法書士であればこのような流れになってもすぐに経営が傾くことはないかもしれません。

ただ、経営が傾いた事務所は必然的にこれらの業務に流れ込んでくることが予想されるので、私としてもより新しい業務を勉強していかないといけないなと感じております。

 

さて、このように司法書士業務が打撃を受けるというのが、第一の予想なのですが、うまく適応すれば業務を広げていくことも可能なはずです。

例えば、先ほどの場面で、取引の完了画面の登録で司法書士がきっちりと関与していったり、当日来られない売主買主にしっかりと意思確認をしたりと、関与出来得る場面はまだまだ残るはずです。

登記申請などの機械的に処理できる部分に士業が必要なくなる流れを防ぐことは恐らくできないでしょう。

上手くテクノロジー・ITに適応した司法書士になっていきたいと強く感じました。

所有者不明土地のその先

2021-06-28

現在、所有者不明土地が社会的な問題になってきています。

その対策として、相続登記義務化というのも直近で始まることとされています。

相続登記の義務化に伴って、住所の変更登記であったり氏名の変更登記も義務化されていくことは先日記事で書いた通りです。

ただ、この所有者不明土地問題は、相続登記だけが問題という訳ではありません。

少し、毛色は違うかもしれませんが、有名な「淡路の平和の大仏」これが解体されるニュースも関係があると言えるかもしれません。

この大仏問題、詳しい解説は省きますが、要は大仏を建てた方の相続人たちが大仏を管理しきれなくなり、相続放棄等を経た結果、解体という流れになったようです。

これは、大仏という大きな建物があったために早急な対処が必要となり、解体ということになったのですが、土地だけであればこうはなっていません。

それこそ、相続人・関係者が関わりたくないような不動産となっている土地は多くあるのです。

例えば、共有者が複数になっている土地。

売るにしても貸すにしても関係者が増えすぎた土地には価値がなくなっていきます。

こんな場合に、不動産屋さんが共有持ち分の一部を買い取り、半ば強引に共有持ち分を集めていくこともあります。

これは、あまり良いように感じないという方もおられるかもしれませんが、そうとも言ってられない土地も多いのが現状なのです。

このように共有者が多岐に渡っている不動産でも、土地所有権の放棄制度などが整備されていけばどうでしょうか。

固定資産税の支払いであったり、境界の問題で負担が永遠に続いていくぐらいなら、無料で公に引き取ってほしいと考える方も多くおられるでしょう。

(これは無理かもしれませんが、価値の残っている不動産の放棄であれば、ふるさと納税の扱いにしてあげるなどすれば盛り上がるかもしれませんし。。。)

いずれにせよ、何か問題を抱えている不動産を放置してもその価値は下がっていく一方です。

私の事務所でも、どうしようもない不動産の処分を手伝ってほしいという依頼が来ることがあります。

良くてプラスマイナスゼロというケースも正直多くあります。

この理由はやはり、私のような司法書士であったり、不動産屋さん、場合によっては弁護士さんが登場しなければこういった土地を処分することができないのが現状であるからです。

たとえ、持っている不動産に価値がなくとも、労力をできるだけ少ない形で公に所有権を集中させていく法整備が必要になってきているのでしょう。

この所有者不明土地問題に関連する法整備が今後さらに進んでいくことを期待したいと思います。

配偶者居住権の登記が。。

2021-06-25

配偶者居住権

民法等の改正により、最近登記ができるようになった新しい権利です。

司法書士業界でも、よく話題になる旬な登記です。

基本的なパターンとしては、夫婦の内の片方が亡くなった時にこの権利が登場します。

例えば、旦那さんが亡くなり、相続人は配偶者と子どもさんという場合を考えてみましょう。

不動産を所有している方が亡くなった場合には、相続登記が必要です。

今回の例では、相続登記のパターンとしては、

1残された奥さんの単独所有

2子の単独所有

3奥さんと子の共有

この三つのパターンが考えられます。

この3パターンの中で、不動産に引き続き奥さんが住む場合、1を選択することが奥さんにとっては1番立場が安定します。

自分の不動産に自分が住むという形になるためです。

ただ、このパターンにはデメリットがあり、奥さんの財産が増加するため、相続税の問題であったり、手続きを奥さんが亡くなった時にもしなければいけなかったりといくつかマイナスの面があります。

では、2のパターンはというと、手続き面、税金面では1に比べるとメリットがありますが、次は奥さんの立場が不安定になってしまいます。

所有者はあくまで子になるため、売却をすることも理論上可能になってしまうためです。

そのため、中間択として3のパターンを選ぶこともこれまで多くありました。

3のパターンのデメリットとしては、仮に売却をする場合などに、当事者が多くなってしまうため、奥さんと子に紛争があった場合に処分できなくなる可能性が出てくることが挙げられます。

そこで配偶者居住権の登場です。

配偶者居住権とは、例のパターンでは、所有者は子に、しかし、奥さんはそのまま住み続けてもいい。さらに奥さんの権利も安定する。という1.2のいいとこ取りのような状態を作り出せる権利です。あくまでイメージとしてはですが。

 

さて、今回この10日に関して疑義があったので、法務局へ照会をしていました。

当然、他の権利に比べて通達・判例も少ないため、登記が可能かを問い合わせたような形ですが、なぜかかなり怒られてしまいました。笑

これから通達等が出て、改めて確認してみようと思います。

今度はなんとか怒られないように穏便に進めたいと、反省しました。笑

 

当事務所では、変わった登記、調べても分からないような登記であっても全力で案件にあたることを約束します。

他の事務所でできないと言われた、煙たがられたという方もお気軽にお声掛けください。

 

相続登記の義務化。住所変更も??

2021-06-21

相続登記が義務化されることはこれまでもお話をしてきたとおりです。

具体的には、

・自己のために相続の開始があったこと

・対象の不動産の所有権を取得したこと

を知った時から3年以内に相続登記をしなければならないとされることになります。(遺贈なども含まれる)

この「自己のために相続の開始があったこと」については、私のホームページ内でもお話したことがあります。

相続登記の場面ではなく、相続放棄の場面ですが。

相続放棄の申述は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内にしなければなりません。

相続放棄については多数の判例もあるため、相続放棄の義務化がなされた後は、こういった判例も生かされていくのではないでしょうか。

さて、相続放棄の場合は、この3か月以内に相続放棄をしなければ相続放棄ができなくなる、すなわち相続するしかなくなります。

では、今回の法改正である、相続登記の義務化ではどうかというと、「10万円以下の過料」を科される扱いとなるようです。

10万円。。。痛いですね。

相続登記については、所有者不明土地を解消するために多少の罰則は必要かと思います。この10万円の額がどうかは別として。

ただ、今回は追加情報として、相続登記だけではなく「氏名変更の登記」であったり「住所変更の登記」も義務化されるようです。

司法書士のイメージとしては商業法人登記に近づいたように感じます。

商業法人登記は、例えば代表者の住所変更であったり、会社の本店が変わった場合には「2週間以内」に変更の登記をしなければいけないことになっています。

今回の改正により不動産登記に関しても「変更があればすぐに登記」という扱いに変更となるわけです。

私たち司法書士としては悪い話ではありません。

当然、住所変更などの登記件数が増えるわけですからね。

ただ、これは前回の相続登記義務化に関しての記事でも申し上げましたが、義務化には簡略化もセットになるべきです。

例えば、住所・氏名の変更をすれば自動若しくは自分自身で簡単に登記ができるようなシステムにいつかはなるでしょう。

そうなると私たち司法書士の仕事はむしろ減少することも十分にあり得ます。

そうなった場合に、消えていく司法書士事務所も当然増えていくでしょう。

しかし、私たちの仕事は本来、「誰にでもできるはずの仕事を代理で行う」仕事です。

そんな司法書士業界の中でも私にしかできない仕事を増やしていこうと改めて感じた今回の法改正でした。

法改正は2024年施行予定です。

所有権放棄について

2021-05-14

以前より、相続登記義務化についてのニュースは何度かお伝えしてきました。

それに伴い、所有権放棄=土地所有権の国庫帰属制度についてもお話をしたことがありました。

現在、日本では相続登記が義務化になっていないため、主に山林や田舎の土地で相続登記が長期間未了になっています。

相続登記が終わっていない土地の多くは利用価値が乏しいものが多いのは事実ですが、市区町村などの自治体は固定資産税を課さなければならず、相続登記が終わっていない状態では不都合が生じます。

また、仮にこういった土地に利用価値が出てきた場合でも、相続登記が終わっていない状態では新たな土地利用者に名義を変更することができず、より一層土地の価値を下げてしまうことに繋がります。

こういった問題が段々と表面化したため、相続登記の義務化に向け、日本は舵を切ったのですが、相続登記には当然費用がかかります。

費用軽減などの方策も考えられているようですが、戸籍の収集などには労力がかかり、これは引き続き相続人にのしかかる負担となるでしょう。

それに加えて、やはり大きな問題は、相続した不動産そのものをどう処分するのかという問題です。

前回お話はしましたが、10年分の管理費等を国に納めることにより、所有権を国庫に帰属させられるようになるようです。

ただ、前回私が手に入れていなかった情報を手に入れたのでお話をします。

この国庫帰属制度には「できない土地」についての条件があるようです。

具体的には、

①建物や通常の管理又は処分を阻害する工作物等がある。(更地ではない)

②土壌汚染や埋蔵物がある。

③崖がある。

④権利関係に争いがある。

⑤担保権等が設定されている。

⑥通路など、他人によって使用されている土地に該当する。

以上の場合は、所有権放棄ができないようです。

④~⑥についてはある意味仕方がないように感じます。

国庫に帰属した土地に第三者が権利関与するわけですから、これは避けた方が良いように思うからです。

ただ、①~③はどうなのでしょうか。

前述のように、この所有権放棄は、「利用価値の乏しい不動産の所有者から離脱する」ための制度です。

①~③の条件はそのまま不動産の価値を下げる要素になっているため、この条件があると放棄したい不動産が放棄できない状態になるように思うのです。

利用価値の低い①~③のような不動産こそ放棄を認めることにより、相続登記も進むように思います。

まだ、条件を詰めていく段階だとは思いますが、この辺りは考えてほしいなと感じました。

引き続き情報が入り次第お話をしようと思います。

改製不適合物件について

2021-04-26

最近は、不動産登記会社の登記どちらもオンライン申請で行うことがほとんどです。

ただ、不動産登記の一部の業務では書面での申請を行う場合があります。

現在も残っている書面申請のケースは、売主・買主の指定司法書士が分かれている場合によく用いられます。

指定司法書士が分かれている場合でも、復代理という方式を用いればオンライン申請を行うことができるため、司法書士が分かれていても書面での申請はもうしていないという先生も増えてきています。

ただ、例えば売主が権利証(登記識別情報)を紛失している場合。

この場合は、本人確認情報を作成するため、売主代理人が申請する必要があり、それに伴い書面での申請となります。

っと。ここまでが現在も残っている書面申請のパターンです。

しかし、今回は私が売主・買主も代理するケースでしたが、書面での申請しかできないパターンでした。

その理由は、「改製不適合物件」というものでした。

現在の不動産登記簿はそのほぼ全てがコンピュータ上のデータにより保管されています。

ただ、現在もデータ化されておらず、紙の情報で管理されている物件が一部残っているのです。

コンピュータ化されていない物件は、当然オンラインでの申請にも対応していません。

よって書面での申請を求められるということになるのです。

さて、この改製不適合物件。

コンピュータ化されていない、できないのにはいくつか理由があります。

まず一つは、法的に作成が難しいパターン。

・同一不動産に複数の登記簿が作成されてしまっている。

・登記の所在に数個の地番区域の記載がある。

・家屋番号の記載がない。

等、コンピュータ化するために必要な情報が不足している、あるいはどの情報をコンピュータ化すればいいか判断できないといった理由が法的に改製できない理由です。

続いては、コンピュータの形式上、処理上での問題があるパターン。

・紙の登記簿上で判別できない文字があり、データ化ができない。

・共有状態である不動産の持分合計が1にならない。

これらが処理上での問題点です。

今回は恐らく、処理上での問題があったのだと思われます。

しかし、そろそろ便宜上でもコンピュータ化をしていただきたいと感じました。

書面申請では、印紙を購入しなくてはいけなかったり、副本を付けないといけない、法務局に直接行かなければならないなど、無用な手間が増えてしまいます。

また、補正がある場合でもオンラインであれば出したデータが確認できますが、書面ではそれもできません。

とりあえず今回の分は補正のないことを祈っておこうと思います。

次回は具体的に書面申請でのオンラインとの差異についてお話をしようと思います。

神戸市の地価と司法書士報酬

2021-04-05

4月に入り、固定資産税の対象年度が切り替わりました。

司法書士事務所であったり、不動産業者の方などの不動産の取引に関わる業種はミスがよく起こる時期です。

特に固定資産税などのミスはお金の問題に直結するため、慎重にしなければいけません。

私たちのような司法書士は、固定資産税の変化により、法務局に収める登録免許税が変化します。

基本的には一年度程度では大きな変化はなく、神戸市の場合は僅かに下がっているところが多いため、多くなミスにはあまりなりません。

というのは、お客様に直前で見積もり変更をする場合、費用が減少するときは喜ばれます。(当然ですが)

そのため、基本的には新たな年度の評価証明書を見ても慌てずに、見積もり変更がまだ可能かを確認します。

しかし、最近あった取引では何故か評価額が1.4倍程度まで上昇していました。

理由を調べようと思いましたが、そんな暇はありません。

すぐに不動産業者に連絡し、見積もり変更をしました。

幸い取引日前日ではなかったため、見積書の変更ができましたが、できない場合はこちらの報酬を減らし調整するほかありませんでした。

何とか変更ができて本当に良かったです。

 

さて、司法書士の見積書には「報酬」と「実費」の部分があります。

そして、この実費が占める割合がとても高いのが司法書士費用のつらい所です。

例えば、所有権移転及び抵当権設定の場合、司法書士報酬が8万円だったとしましょう。

実費の中で占める割合が一番高いのは「登録免許税」です。

土地の売買であれば、評価額の1000分の15。建物であれば1000分の20が登録免許税となります。

そして抵当権設定の場合は債権額の1000分の4が登録免許税になるのです。

仮に土地の代金2000万円、2000万円の担保を付ける場合。

38万円もの登録免許税がかかる計算です。

よって報酬と合わせて46万円の司法書士費用がかかります。

・・・高く感じますよね。

そのため、関西人特有の「先生、端数の6万まけて」みたいな方がおられた場合。

免許税は減らせないため、私の報酬から引くしかありません。

そうなると、6万円も減らせるわけがない。

ということになるのです。

つまり、司法書士費用の多くは司法書士が調整できる部分ではないのです。

もし、マイホームを購入等された場合、司法書士費用の「報酬」部分だけで他の事務所と比べてみてください。

費用全体ではどうしても高く感じてしまうのは当然なのです。

 

っと、司法書士費用についての話が長くなりましたが、今回気になったのは異常な地価の変化です。

この辺りは時間があれば調べてみたいと思います。

住所変更登記について

2021-03-17

年度末ということで、不動産の取引に関する業務が増えています。

不動産決済業務に関して、私たち司法書士が一番恐れているのは、住所変更登記の見落としです。

その理由をお話しします。

 

登記を申請する際、申請しなければならないものが以下のようなものだったとします。

・住所変更

・抵当権抹消

・所有権移転

・抵当権設定

この場合には、登記を4件申請します。

あってはならないことなのですが、司法書士が登記申請を行って、補正があることがあります。

一部住所の記載が間違っていたり、申請内容に疑義があったりすると法務局から電話があり、補正を行います。

正直、補正にもならず却下になる事象は多くありません。

ただ、最初にお話ししたように、住所の変更を見落とした場合、補正では対応ができません。

なぜなら、住所変更登記の見落としは、登記内容の補正ではなく、登記申請件数そのものが間違ってるからです。

「忘れていたなら後から出せばいいじゃないか」と思われるかもしれませんが、そうはいきません。

登記申請をすると、受付番号というものが発行されるのです。

これは、登記を申請した順に「令和3年3月17日受付第12345号」のように受付番号が付与されるのです。

そして申請情報の処理は受付番号の若い順に処理がされていきます。

つまり、本来最初に処理しなければならない住所変更登記を後から申請しても意味がないのです。

次に、「そもそも住所変更登記はなぜ必要なの?」と思われる方もおられると思います。

この理由は、印鑑証明書と関係があります。

所有権移転登記を申請する際、売主は印鑑証明書を提供します。

そしてこの印鑑証明書は「現在の住所」について発行されます。

つまり、住所変更登記を経て、最新の住所に変更していなければ提供した印鑑証明と登記簿上の住所が一致しません。

本人確認としての意味が失われてしまうのです。

このため、住所変更は必ず所有権移転登記の前に申請しなければならないのです。

よって、住所変更を漏らしてしまうと、基本的に登記を取り下げるしかありません。(裏技はあるようですが、、、)

最後に、「取り下げてもう一度出せばいいじゃないか」と思われる方について。

これはある意味では正しいです。

しかし、曜日が変わってしまうと問題があります。

金融機関で住宅ローンがあれば、一日無担保の期間ができてしまいます。

これは司法書士の責任問題となるのです。

そして、住所変更を漏らした場合、発覚するのは数日後です。

つまり曜日は基本的に遅れてしまうのです。

よって、住所変更に気づかず申請をした時点で責任問題となります。

運よく当職はまだ経験がないので、この記事を書くことでもう一度気を引き締めたいと思います。

 

当事務所では、登記申請の依頼だけでなく、ご自身で登記される方の無料相談も実施しています。

もし、登記申請でお困りの方がおられたらお気軽にお声がけください。

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