Archive for the ‘不動産登記’ Category
神戸市の地価と司法書士報酬
4月に入り、固定資産税の対象年度が切り替わりました。
司法書士事務所であったり、不動産業者の方などの不動産の取引に関わる業種はミスがよく起こる時期です。
特に固定資産税などのミスはお金の問題に直結するため、慎重にしなければいけません。
私たちのような司法書士は、固定資産税の変化により、法務局に収める登録免許税が変化します。
基本的には一年度程度では大きな変化はなく、神戸市の場合は僅かに下がっているところが多いため、多くなミスにはあまりなりません。
というのは、お客様に直前で見積もり変更をする場合、費用が減少するときは喜ばれます。(当然ですが)
そのため、基本的には新たな年度の評価証明書を見ても慌てずに、見積もり変更がまだ可能かを確認します。
しかし、最近あった取引では何故か評価額が1.4倍程度まで上昇していました。
理由を調べようと思いましたが、そんな暇はありません。
すぐに不動産業者に連絡し、見積もり変更をしました。
幸い取引日前日ではなかったため、見積書の変更ができましたが、できない場合はこちらの報酬を減らし調整するほかありませんでした。
何とか変更ができて本当に良かったです。
さて、司法書士の見積書には「報酬」と「実費」の部分があります。
そして、この実費が占める割合がとても高いのが司法書士費用のつらい所です。
例えば、所有権移転及び抵当権設定の場合、司法書士報酬が8万円だったとしましょう。
実費の中で占める割合が一番高いのは「登録免許税」です。
土地の売買であれば、評価額の1000分の15。建物であれば1000分の20が登録免許税となります。
そして抵当権設定の場合は債権額の1000分の4が登録免許税になるのです。
仮に土地の代金2000万円、2000万円の担保を付ける場合。
38万円もの登録免許税がかかる計算です。
よって報酬と合わせて46万円の司法書士費用がかかります。
・・・高く感じますよね。
そのため、関西人特有の「先生、端数の6万まけて」みたいな方がおられた場合。
免許税は減らせないため、私の報酬から引くしかありません。
そうなると、6万円も減らせるわけがない。
ということになるのです。
つまり、司法書士費用の多くは司法書士が調整できる部分ではないのです。
もし、マイホームを購入等された場合、司法書士費用の「報酬」部分だけで他の事務所と比べてみてください。
費用全体ではどうしても高く感じてしまうのは当然なのです。
っと、司法書士費用についての話が長くなりましたが、今回気になったのは異常な地価の変化です。
この辺りは時間があれば調べてみたいと思います。
住所変更登記について
年度末ということで、不動産の取引に関する業務が増えています。
不動産決済業務に関して、私たち司法書士が一番恐れているのは、住所変更登記の見落としです。
その理由をお話しします。
登記を申請する際、申請しなければならないものが以下のようなものだったとします。
・住所変更
・抵当権抹消
・所有権移転
・抵当権設定
この場合には、登記を4件申請します。
あってはならないことなのですが、司法書士が登記申請を行って、補正があることがあります。
一部住所の記載が間違っていたり、申請内容に疑義があったりすると法務局から電話があり、補正を行います。
正直、補正にもならず却下になる事象は多くありません。
ただ、最初にお話ししたように、住所の変更を見落とした場合、補正では対応ができません。
なぜなら、住所変更登記の見落としは、登記内容の補正ではなく、登記申請件数そのものが間違ってるからです。
「忘れていたなら後から出せばいいじゃないか」と思われるかもしれませんが、そうはいきません。
登記申請をすると、受付番号というものが発行されるのです。
これは、登記を申請した順に「令和3年3月17日受付第12345号」のように受付番号が付与されるのです。
そして申請情報の処理は受付番号の若い順に処理がされていきます。
つまり、本来最初に処理しなければならない住所変更登記を後から申請しても意味がないのです。
次に、「そもそも住所変更登記はなぜ必要なの?」と思われる方もおられると思います。
この理由は、印鑑証明書と関係があります。
所有権移転登記を申請する際、売主は印鑑証明書を提供します。
そしてこの印鑑証明書は「現在の住所」について発行されます。
つまり、住所変更登記を経て、最新の住所に変更していなければ提供した印鑑証明と登記簿上の住所が一致しません。
本人確認としての意味が失われてしまうのです。
このため、住所変更は必ず所有権移転登記の前に申請しなければならないのです。
よって、住所変更を漏らしてしまうと、基本的に登記を取り下げるしかありません。(裏技はあるようですが、、、)
最後に、「取り下げてもう一度出せばいいじゃないか」と思われる方について。
これはある意味では正しいです。
しかし、曜日が変わってしまうと問題があります。
金融機関で住宅ローンがあれば、一日無担保の期間ができてしまいます。
これは司法書士の責任問題となるのです。
そして、住所変更を漏らした場合、発覚するのは数日後です。
つまり曜日は基本的に遅れてしまうのです。
よって、住所変更に気づかず申請をした時点で責任問題となります。
運よく当職はまだ経験がないので、この記事を書くことでもう一度気を引き締めたいと思います。
当事務所では、登記申請の依頼だけでなく、ご自身で登記される方の無料相談も実施しています。
もし、登記申請でお困りの方がおられたらお気軽にお声がけください。
司法書士にできること、できないこと
司法書士に依頼できることは様々です。
例えば、相続手続きであったり債務整理のお仕事であったり、不動産登記の業務。
これらの業務は司法書士業務の代表的なものですが、この中の一部の業務は司法書士でも行うことができません。
今日は、司法書士ができないことについて少しお話をしていきます。
まず、相続手続きにおいて、司法書士ができることをお話します。
司法書士は、業務として、法務局に対する相続登記の申請や、金融機関・証券会社などに対しての遺産承継手続きを行うことができます。
しかし、この業務は「相続人間で紛争が起こっていない」ことが条件となります。
例えば、相続人が二人いるが、遺産分割の内容に納得がいかず、協議がまとまらない。という場合。
司法書士は遺産分割協議をまとめるため、一部の相続人の代理人となり交渉したり、調停の手続きを代行することはできません。
この場合は、弁護士に依頼し、紛争を解決する必要があります。
続いては債務整理の場面。
司法書士には簡易裁判所の代理権があり(認定を受けた認定司法書士のみ)、訴額140万円以下の債務額について任意整理を行うことができます。
他にも、過払い金返還請求などでも同じく訴額140万円というのがラインとなります。
また、任意整理以外に自己破産・個人再生といった手続きにおいても司法書士は「代理人」となることができません。
自己破産・個人再生においては「書類作成者」として依頼者をサポートするにとどまるのです。
つまりここでも、訴額140万円を超える債務についての任意整理であったり、自己破産を代理人として進めてほしい場合は弁護士さんへの依頼が必要となるのです。
最後の例は不動産登記。
司法書士は独占業務として、不動産の権利の登記を行うことができます。
所有権移転・抵当権設定といった登記を業として行うことができるのは司法書士です。
しかし、不動産登記において権利の登記というのは登記が持つ役割の内、半分に過ぎません。
不動産登記は、「権利」と「表示」の二つを公示する役割があるのです。
表示とは、不動産の見た姿そのものです。
所在・地積・地目、構造等々、不動産を見て、図って得られる情報が表示登記の役割です。
そしてこの表示に関する登記の専門家が土地家屋調査士です。
よって、地目を変えたり建物の表示登記に関しては司法書士が関与することができません。
このように、司法書士が扱っている業務の多くは、弁護士であったり、行政書士、社労士、土地家屋調査士といった他業種の業務範囲と隣接しています。
しかし、逆に言うと司法書士は多くの専門家への橋渡しを行うべき専門家と言えます。
当事務所でも、信頼できる専門家への紹介を行っておりますので、何か悩みがあればまずは当事務所へご連絡ください。
抵当権抹消登記の流れ
抵当権抹消登記についてのご質問が増えているので、流れについてお話をしたいと思います。
司法書士が抵当権抹消登記を扱うタイミングは大きく分けると2つです。
1つ目は、住宅ローンを完済した時です。
マイホームを購入した場合、多くの方は現金一括購入ではなく、住宅ローンを組んで購入されると思います。
その場合、金融機関は対象の不動産に担保を設定します。
この担保の一つを抵当権と言います。
他には、質権なども担保に含まれますが、質の場合は対象物を相手方に渡してしまうため、住宅ローンの場合は当然使われません。
しかし、担保であることには変わらないので、イメージとしては同じように考えられます。
具体的な共通点は、「借金を返済しないと対象物の所有権が失われる」という点、「完済すれば担保が抹消される」という点が挙げられます。
そしてこの「完済」した時に抵当権の抹消登記が必要となるのです。
流れとしては、住宅ローンを完済すると、金融機関より以下のような書類が送付されます。
・抵当権設定契約書
・抵当権解除証書
・登記識別情報通知
・委任状
・その他契約完了書類
このような書類が送付されます。
ここから登記に必要な書類である解除証書、登記識別情報通知、委任状を使用し、抵当権抹消登記を申請します。
この時点で、個人のお客様がご自身で手続きを行うことも可能です。
ただ、法務局に相談に行かなければならなかったり、書類を作成しなければなれなかったりと手間がかかります。
そのため、これらの書類を司法書士に渡し、手続きを代行してもらう方もおられます。
これが私たち司法書士が抵当権抹消登記を行う第一パターンです。
二つ目は、ローンが完済する前に不動産を売却する場面です。
この場合、売却代金をもってローンを完済し、同時に買主へ登記名義を変更します。
この場合、個人のお客様がご自身で手続きを行うことは基本的にありません。
なぜなら、確実に抵当権が抹消されなければ買主に担保が残ってしまうからです。
つまりこの場合は確実に司法書士に依頼することになるのです。
流れとしては、お客様自身で、借り入れの金融機関へ一括返済の連絡をします。
その後、書類の打ち合わせ等は司法書士が行っていき、当日の書類の授受も司法書士が立ち会うことになります。
そして受け取った書類をもって司法書士が登記申請を行い、手続き完了となります。
以上が司法書士が抵当権抹消を行う2つのパターンです。
受け取ったはずの書類を無くしてしまった、抹消する前に相続が発生してしまった等、変則的な登記パターンであれば司法書士に依頼することをお勧めします。
もし、自分で申請したいが、アドバイスを受けたいという方がおられればご連絡ください。相談だけであれば無料でご対応いたします。