最近は、不動産登記・会社の登記どちらもオンライン申請で行うことがほとんどです。
ただ、不動産登記の一部の業務では書面での申請を行う場合があります。
現在も残っている書面申請のケースは、売主・買主の指定司法書士が分かれている場合によく用いられます。
指定司法書士が分かれている場合でも、復代理という方式を用いればオンライン申請を行うことができるため、司法書士が分かれていても書面での申請はもうしていないという先生も増えてきています。
ただ、例えば売主が権利証(登記識別情報)を紛失している場合。
この場合は、本人確認情報を作成するため、売主代理人が申請する必要があり、それに伴い書面での申請となります。
っと。ここまでが現在も残っている書面申請のパターンです。
しかし、今回は私が売主・買主も代理するケースでしたが、書面での申請しかできないパターンでした。
その理由は、「改製不適合物件」というものでした。
現在の不動産登記簿はそのほぼ全てがコンピュータ上のデータにより保管されています。
ただ、現在もデータ化されておらず、紙の情報で管理されている物件が一部残っているのです。
コンピュータ化されていない物件は、当然オンラインでの申請にも対応していません。
よって書面での申請を求められるということになるのです。
さて、この改製不適合物件。
コンピュータ化されていない、できないのにはいくつか理由があります。
まず一つは、法的に作成が難しいパターン。
・同一不動産に複数の登記簿が作成されてしまっている。
・登記の所在に数個の地番区域の記載がある。
・家屋番号の記載がない。
等、コンピュータ化するために必要な情報が不足している、あるいはどの情報をコンピュータ化すればいいか判断できないといった理由が法的に改製できない理由です。
続いては、コンピュータの形式上、処理上での問題があるパターン。
・紙の登記簿上で判別できない文字があり、データ化ができない。
・共有状態である不動産の持分合計が1にならない。
これらが処理上での問題点です。
今回は恐らく、処理上での問題があったのだと思われます。
しかし、そろそろ便宜上でもコンピュータ化をしていただきたいと感じました。
書面申請では、印紙を購入しなくてはいけなかったり、副本を付けないといけない、法務局に直接行かなければならないなど、無用な手間が増えてしまいます。
また、補正がある場合でもオンラインであれば出したデータが確認できますが、書面ではそれもできません。
とりあえず今回の分は補正のないことを祈っておこうと思います。
次回は具体的に書面申請でのオンラインとの差異についてお話をしようと思います。