Archive for the ‘相続’ Category
所有者不明土地のその先
現在、所有者不明土地が社会的な問題になってきています。
その対策として、相続登記の義務化というのも直近で始まることとされています。
相続登記の義務化に伴って、住所の変更登記であったり氏名の変更登記も義務化されていくことは先日記事で書いた通りです。
ただ、この所有者不明土地問題は、相続登記だけが問題という訳ではありません。
少し、毛色は違うかもしれませんが、有名な「淡路の平和の大仏」これが解体されるニュースも関係があると言えるかもしれません。
この大仏問題、詳しい解説は省きますが、要は大仏を建てた方の相続人たちが大仏を管理しきれなくなり、相続放棄等を経た結果、解体という流れになったようです。
これは、大仏という大きな建物があったために早急な対処が必要となり、解体ということになったのですが、土地だけであればこうはなっていません。
それこそ、相続人・関係者が関わりたくないような不動産となっている土地は多くあるのです。
例えば、共有者が複数になっている土地。
売るにしても貸すにしても関係者が増えすぎた土地には価値がなくなっていきます。
こんな場合に、不動産屋さんが共有持ち分の一部を買い取り、半ば強引に共有持ち分を集めていくこともあります。
これは、あまり良いように感じないという方もおられるかもしれませんが、そうとも言ってられない土地も多いのが現状なのです。
このように共有者が多岐に渡っている不動産でも、土地所有権の放棄制度などが整備されていけばどうでしょうか。
固定資産税の支払いであったり、境界の問題で負担が永遠に続いていくぐらいなら、無料で公に引き取ってほしいと考える方も多くおられるでしょう。
(これは無理かもしれませんが、価値の残っている不動産の放棄であれば、ふるさと納税の扱いにしてあげるなどすれば盛り上がるかもしれませんし。。。)
いずれにせよ、何か問題を抱えている不動産を放置してもその価値は下がっていく一方です。
私の事務所でも、どうしようもない不動産の処分を手伝ってほしいという依頼が来ることがあります。
良くてプラスマイナスゼロというケースも正直多くあります。
この理由はやはり、私のような司法書士であったり、不動産屋さん、場合によっては弁護士さんが登場しなければこういった土地を処分することができないのが現状であるからです。
たとえ、持っている不動産に価値がなくとも、労力をできるだけ少ない形で公に所有権を集中させていく法整備が必要になってきているのでしょう。
この所有者不明土地問題に関連する法整備が今後さらに進んでいくことを期待したいと思います。
配偶者居住権の登記が。。
配偶者居住権。
民法等の改正により、最近登記ができるようになった新しい権利です。
司法書士業界でも、よく話題になる旬な登記です。
基本的なパターンとしては、夫婦の内の片方が亡くなった時にこの権利が登場します。
例えば、旦那さんが亡くなり、相続人は配偶者と子どもさんという場合を考えてみましょう。
不動産を所有している方が亡くなった場合には、相続登記が必要です。
今回の例では、相続登記のパターンとしては、
1残された奥さんの単独所有
2子の単独所有
3奥さんと子の共有
この三つのパターンが考えられます。
この3パターンの中で、不動産に引き続き奥さんが住む場合、1を選択することが奥さんにとっては1番立場が安定します。
自分の不動産に自分が住むという形になるためです。
ただ、このパターンにはデメリットがあり、奥さんの財産が増加するため、相続税の問題であったり、手続きを奥さんが亡くなった時にもしなければいけなかったりといくつかマイナスの面があります。
では、2のパターンはというと、手続き面、税金面では1に比べるとメリットがありますが、次は奥さんの立場が不安定になってしまいます。
所有者はあくまで子になるため、売却をすることも理論上可能になってしまうためです。
そのため、中間択として3のパターンを選ぶこともこれまで多くありました。
3のパターンのデメリットとしては、仮に売却をする場合などに、当事者が多くなってしまうため、奥さんと子に紛争があった場合に処分できなくなる可能性が出てくることが挙げられます。
そこで配偶者居住権の登場です。
配偶者居住権とは、例のパターンでは、所有者は子に、しかし、奥さんはそのまま住み続けてもいい。さらに奥さんの権利も安定する。という1.2のいいとこ取りのような状態を作り出せる権利です。あくまでイメージとしてはですが。
さて、今回この10日に関して疑義があったので、法務局へ照会をしていました。
当然、他の権利に比べて通達・判例も少ないため、登記が可能かを問い合わせたような形ですが、なぜかかなり怒られてしまいました。笑
これから通達等が出て、改めて確認してみようと思います。
今度はなんとか怒られないように穏便に進めたいと、反省しました。笑
当事務所では、変わった登記、調べても分からないような登記であっても全力で案件にあたることを約束します。
他の事務所でできないと言われた、煙たがられたという方もお気軽にお声掛けください。
相続登記の義務化。住所変更も??
相続登記が義務化されることはこれまでもお話をしてきたとおりです。
具体的には、
・自己のために相続の開始があったこと
・対象の不動産の所有権を取得したこと
を知った時から3年以内に相続登記をしなければならないとされることになります。(遺贈なども含まれる)
この「自己のために相続の開始があったこと」については、私のホームページ内でもお話したことがあります。
相続登記の場面ではなく、相続放棄の場面ですが。
相続放棄の申述は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内にしなければなりません。
相続放棄については多数の判例もあるため、相続放棄の義務化がなされた後は、こういった判例も生かされていくのではないでしょうか。
さて、相続放棄の場合は、この3か月以内に相続放棄をしなければ相続放棄ができなくなる、すなわち相続するしかなくなります。
では、今回の法改正である、相続登記の義務化ではどうかというと、「10万円以下の過料」を科される扱いとなるようです。
10万円。。。痛いですね。
相続登記については、所有者不明土地を解消するために多少の罰則は必要かと思います。この10万円の額がどうかは別として。
ただ、今回は追加情報として、相続登記だけではなく「氏名変更の登記」であったり「住所変更の登記」も義務化されるようです。
司法書士のイメージとしては商業法人登記に近づいたように感じます。
商業法人登記は、例えば代表者の住所変更であったり、会社の本店が変わった場合には「2週間以内」に変更の登記をしなければいけないことになっています。
今回の改正により不動産登記に関しても「変更があればすぐに登記」という扱いに変更となるわけです。
私たち司法書士としては悪い話ではありません。
当然、住所変更などの登記件数が増えるわけですからね。
ただ、これは前回の相続登記義務化に関しての記事でも申し上げましたが、義務化には簡略化もセットになるべきです。
例えば、住所・氏名の変更をすれば自動若しくは自分自身で簡単に登記ができるようなシステムにいつかはなるでしょう。
そうなると私たち司法書士の仕事はむしろ減少することも十分にあり得ます。
そうなった場合に、消えていく司法書士事務所も当然増えていくでしょう。
しかし、私たちの仕事は本来、「誰にでもできるはずの仕事を代理で行う」仕事です。
そんな司法書士業界の中でも私にしかできない仕事を増やしていこうと改めて感じた今回の法改正でした。
法改正は2024年施行予定です。
兄弟相続の危険性
相続登記、遺産承継手続き等、司法書士は相続に関する多くの業務に携わっています。
司法書士として、こういった相続の依頼を受けた際に、一番楽なパターンは「遺言があるパターン」です。
楽とかしんどい等は依頼を受けている以上、言うべきではないのでしょうが、遺言があれば、集める戸籍も少なく、こちらの作成書類も少なくて済みます。
そのため、私の事務所では遺言書があれば相続手続きの費用を減額しています。
それぐらい遺言書があれば相続手続きは楽になるのです。
逆に、相続手続きが非常に困難になるパターンがあります。
それは「兄弟相続」のパターンです。
兄弟相続とは、相続順位の中、第三順位の相続ということになります。
つまり、被相続人(亡くなった方)に子供もおらず、両親・祖父母もいなかった場合に兄弟相続になるのです。
この兄弟相続の場合、集める戸籍は非常に多くなります。
まず、被相続人に子供がいないことを証明するために、出生から全ての戸籍が必要です。
次は、両親・祖父母が既に亡くなっていることを示す戸籍が必要です。
最後に全ての兄弟を証明するために、両親の出生から死亡までの戸籍が必要となります。
このように戸籍の収集だけをとっても非常に大変な手続きとなります。
また、両親の出生からの戸籍を取る関係で、非常に古い戸籍謄本を読む能力が求められます。
当然、昔の戸籍は手書きで作成されており、作成者が達筆すぎて読めないということもよくあります。
他にも、そもそも戸籍が破棄されている可能性もあり、その場合は、別途証明書を求められることも考えられます。
さらにさらに、兄弟相続の場合、相続する兄弟も被相続人と同じぐらいの年代となる関係で、相続人となる兄弟がすでに亡くなっていることもよくあります。
そうなると、その兄弟の子供たちも相続人になるため、関係者もどんどん増えていきます。
親族同士連絡を頻繁に取り合う関係性であれば問題はないかもしれませんが、遠方に引っ越していたり、場合によっては海外移住をしている事もこれから増えてくるでしょう。
関係者が増えてくる、連絡先が遠方になりやすいということも兄弟相続の大きなデメリットです。
このように、兄弟相続には大きなデメリット危険性があります。
ただ、兄弟相続には「遺留分がない」というメリットもあります。
詳しい説明は省きますが、遺留分がない場合、遺言書で自由に財産を相続させることができます。
つまり、自分の相続人が兄弟ということが分かっている場合、遺言書の作成によるメリットが非常に大きいです。
兄弟間での争いを防げたり、財産が宙に浮くことを防ぐため、遺言書の作成を検討してみましょう。
デジタル資産と終活
司法書士として、不動産の相続登記はもちろん、預金・株式の相続手続きも多く手掛けています。
不動産の相続登記だけではなく、金融機関・証券会社への手続きもできるということは最近認知されてきたように思います。
ただ、昨今の財産はこういった目に見える財産だけではありません。
例えば、「ビットコイン」
少し前に、流行り、今も投資の一つの形として普及した仮想通貨と言われるものです。
他にも、「暗号資産」というものも今後の相続手続きに入ってくるでしょう。
しかし、特に暗号資産の取り扱いはまだまだ不透明なようです。
ただ、仮想通貨・暗号資産といった財産に相続税が課税されることが明示されています。
つまり、これらの財産が相続財産になることは確定的事項と言えるでしょう。
ただ、こういった財産の承継をどのようにしていくかはまだまだ不透明です。
仮想通貨といったものならまだしも、SNSのアカウントであったり、ブログが金銭的価値を持つ時代です。
こういったデータ・アカウントの相続も必要となってくると、その手続きはさらに複雑化していくでしょう。
では、どうすればいいのかというと、せめて自分の遺言書などを作成し、終活をする場合には、価値のあるデジタルデータも相続財産になり得るということを意識する必要が出てくるでしょう。
例えば、遺言でこのような文言を遺す場合。
「私の持っているパソコンを○○に相続させる。」
という場合、パソコンの所有権が指定された人に移るのは当然の遺言の効果です。
ただ、パソコンの中のデータはどうでしょう。
パソコンの中には、多額の仮想通貨・暗号資産が含まれていたとしたら・・・?
このような場合、相続人の中から、「パソコンは○○でも、中のビットコインは相続人で分けるべきだ」
という主張があることも十分に考えられます。
当然、こういったケースはまだまだ判例が少なく、確定的な法解釈は定まっていません。
そうなると、これは「危険な遺言」だと言えるでしょう。
遺言の作成といった、終活は基本的には「相続が起こっても誰も揉めないように」するはずです。
しかし、危険な遺言を作るとかえって親族間に軋轢が生まれるかもしれないのです。
では、さっきの遺言をこのように変えると、
「私の持っているパソコン及びその内部の一切のデータを○○に相続させる」
とした場合、これは中の仮想通貨・暗号資産も○○に相続させたことに疑義がなくなります。
このように、最新の情勢・判例・税制に精通していなければ終活を確実に行うことはできません。
司法書士はもちろん、税理士さんなどにもアドバイスを仰ぎながら、確実な終活をしていきましょう。
当事務所は、財産面での終活だけではなく、任意後見等での身上面の終活もサポートしていきます。
気になった方はお気軽にお問い合わせください。
相続登記と上申書
司法書士にとって、相続登記は業務の中で大きな柱であり、当事務所でも数多く受任しています。
基本的には、被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍謄本関係を取り寄せることから業務が始まっていきます。
戸籍謄本は、一つの役所で全て取れるとは限らず、婚姻の時に本籍地を変えている方、住所を変更するように何度も転籍をしている方などもおり、どれぐらいの労力で収集ができるかはやってみないと分かりません。
他にも、被相続人が亡くなってから何年か経過してしまっている場合、最後の住民票が取得できないことがあります。
この場合、亡くなった人と登記簿に載っている方が一致するかが分かりません。
登記簿には、住所氏名は載っており、亡くなった方の最後の住民票が取れないとなると、一致する情報が氏名しかありません。
この状況で、無条件に相続登記を認めてしまうと、「同姓同名の人の不動産を勝手に相続登記」できてしまいます。
当然、法務局がこんなことを認める訳がありません。
では、どうするのかというと、「上申書」を使います。
登記における上申書とは、主に、一部の添付書類が取得できなかったり、一般的なケースではない事例で用います。
内容は事例ごとに当然異なりますが、「一部の書類が不足していますが、登記をしても御庁にご迷惑かけないことを確約します」みたいな内容になります。
この上申書に、本来は求められていない権利証であったり、固定資産税の納付書などの所有者でしか持ちえない書類を添付して登記を行っていくのです。
これが相続登記における上申書の登場場面です。
さて、この上申書、出てくる場面は他にも様々です。
例えば、前回の記事でお話した「清算結了登記の抹消」という変則的な会社の登記、裁判所提出書類の作成の際にも作成することがあります。
しかし共通点は、何かの手続きが問題ないことを申請者側が一部確約する文書です。
そのため、このような書類を作成するこちらも責任を持って作成しなければなりません。
関係者への聞き取り、お持ちの書類の確認、場合によっては法務局との打ち合わせを経て上申書を作成していくのです。
っというように、上申書の作成はとても難しいです。
ただ、報酬に反映できるかというと難しいことも多いです。(笑)
理由はやはり、受けてみないと上申書が必要かが分からない点、苦労して作った上申書は法務局への出し切りで、登記が終わると何も残らない点があります。
この点はどうしようもないので、仕方ないかなあとは思いながら、日々上申書を作成しています。
当事務所では、相続登記の中で変則的なものも多く扱っており、依頼者のご負担を極力減らし、手続きを行っております。
まずは当事務所の無料相談を利用し、相続登記が自分で出来るかを確かめてみましょう。
当事務所は、手続きの説明も無料で行っております。
所有権放棄について
以前より、相続登記の義務化についてのニュースは何度かお伝えしてきました。
それに伴い、所有権放棄=土地所有権の国庫帰属制度についてもお話をしたことがありました。
現在、日本では相続登記が義務化になっていないため、主に山林や田舎の土地で相続登記が長期間未了になっています。
相続登記が終わっていない土地の多くは利用価値が乏しいものが多いのは事実ですが、市区町村などの自治体は固定資産税を課さなければならず、相続登記が終わっていない状態では不都合が生じます。
また、仮にこういった土地に利用価値が出てきた場合でも、相続登記が終わっていない状態では新たな土地利用者に名義を変更することができず、より一層土地の価値を下げてしまうことに繋がります。
こういった問題が段々と表面化したため、相続登記の義務化に向け、日本は舵を切ったのですが、相続登記には当然費用がかかります。
費用軽減などの方策も考えられているようですが、戸籍の収集などには労力がかかり、これは引き続き相続人にのしかかる負担となるでしょう。
それに加えて、やはり大きな問題は、相続した不動産そのものをどう処分するのかという問題です。
前回お話はしましたが、10年分の管理費等を国に納めることにより、所有権を国庫に帰属させられるようになるようです。
ただ、前回私が手に入れていなかった情報を手に入れたのでお話をします。
この国庫帰属制度には「できない土地」についての条件があるようです。
具体的には、
①建物や通常の管理又は処分を阻害する工作物等がある。(更地ではない)
②土壌汚染や埋蔵物がある。
③崖がある。
④権利関係に争いがある。
⑤担保権等が設定されている。
⑥通路など、他人によって使用されている土地に該当する。
以上の場合は、所有権放棄ができないようです。
④~⑥についてはある意味仕方がないように感じます。
国庫に帰属した土地に第三者が権利関与するわけですから、これは避けた方が良いように思うからです。
ただ、①~③はどうなのでしょうか。
前述のように、この所有権放棄は、「利用価値の乏しい不動産の所有者から離脱する」ための制度です。
①~③の条件はそのまま不動産の価値を下げる要素になっているため、この条件があると放棄したい不動産が放棄できない状態になるように思うのです。
利用価値の低い①~③のような不動産こそ放棄を認めることにより、相続登記も進むように思います。
まだ、条件を詰めていく段階だとは思いますが、この辺りは考えてほしいなと感じました。
引き続き情報が入り次第お話をしようと思います。
相続放棄してるかどうか
最近、こんな事例がありました。
・音信不通の兄弟がどうやら亡くなった様子
・亡くなった兄弟には息子がいるが、その甥とも音信不通である。
・素性不明の貸金業者から電話がかかって来た。(おそらく亡くなった兄弟の債権者)
以上のような事例です。
通常、親族が亡くなった場合、第一順位として息子、娘等の子がまず相続人となります。
この場合、亡くなった兄弟には息子がいるため、相続人はその甥っ子というのが基本的な考え方です。
日本の相続では、先順位の相続人がいる場合、後順位の相続人は相続権がありません。
つまりこの場合、相続権は甥がすべて持つため(配偶者が存命であれば配偶者と共に)、兄弟である依頼者は相続に関して悩む必要はありません。
では、どのような場合に兄弟に相続権が来るかというと、先順位者に相続放棄があった場合です。
第一順位の相続人である甥が、被相続人の債務を相続しないために相続放棄をしたとしましょう。
すると、相続権は第二順位である、直系尊属へと移ります。
被相続人よりも年長者である直系尊属は亡くなっていることも多いです。(今回もそうでした。)
そのため、次の第三順位である兄弟姉妹つまり依頼者に相続権が来ることになるのです。
先順位である甥が相続放棄をしていれば、依頼者にも相続放棄が必要というある意味不安定な状態での相談だったのです。
甥っ子に連絡が取れればそれで解決ですが、亡くなった兄弟含めて音信不通。
どうすればいいのか。というのが今回の依頼でした。
今回のようなケースでは、「相続放棄申述の有無の照会制度」が利用できます。
この制度は、各添付書類と申請書を家庭裁判所に提出することにより、先順位者が相続放棄を行っているかを照会できる制度です。
今回にぴったりな制度です。
この制度は無関係の他人が利用できる制度ではありません。
申立権利者は、相続人又は利害関係人となります。
今回の依頼者は、まだ相続人ではないため、利害関係人となります。
このように、相続放棄の有無を知る利益を持つものが利害関係人となるのです。
今回の照会で、甥が相続放棄をしていれば、依頼者も相続放棄を。
していなければ相続人ではないことが証明できるわけです。
今回の相続放棄の有無の照会制度ですが、私は以前にもしたことがありました。
以前は今回のように相続放棄の前提としてではなく、相続登記の場面でした。
これについては次回以降に書いてみたいと思います。
当事務所では、債務整理等の様々な業務を行っています。
司法書士への依頼は、相続及び債務整理であったり、成年後見及び遺言等々、様々な業務が複合してきます。
幅広い業務を行っている司法書士へ依頼することでワンストップの対応を受けることができます。
何かお困りのことがあれば、お気軽にお声掛けください。神戸市以外の方も大歓迎です。
会社の代表者の相続
司法書士事務所は、相続に関する業務を受任することが多いのですが、単純な相続登記~株式の承継を含むような複雑なものまで内容は様々です。
今回はその中でも、会社の代表者が亡くなった場合の相続手続きについてお話をしようと思います。
会社の代表者が亡くなった場合、会社の代表者を変更しなければなりません。
通常、大きな会社でなければ、代表者=大株主であることが多いため、この株式の動きが重要になってきます。
例えば、代表者が亡くなり、当時から取締役となっていた長男が事業を引き継ぎたいとしましょう。
相続人としては、その他に役員となっている兄弟が3名、代表者の配偶者が存命であり、当所の株式は全て亡くなった代表者が所有していたパターンを想像してみましょう。
長男が代表者となり、事業を承継していこうとした場合、当然ですが相続人全員の承諾があれば何の問題もなく手続きを進めることができます。
しかし、仮に、長男以外の相続人の足並みが揃わなかったとしたらどうでしょう。
役員の決定や、そもそも会社を継続するかどうかは原則「株主」が決定します。
会社の役員ではありません。
つまり、代表者が持っていた株式がどこに流れるかによって意思決定者が変わるのです。
さて、上記の例のパターンでは、遺言などがない場合、2分の1を配偶者が。残りの半分を兄弟4名つまり各8分の1ずつ兄弟が持つことになります。
よって、兄弟全員が自らを代表者にしたい場合は、株式の議決権が割れてしまい、結果として配偶者の意見に左右されることになってしまうのです。
最悪の場合は、配偶者がどの兄弟に会社を続けてもらいたいかが決められず、会社がストップしてしまうことも十分あり得るのです。
では、この場合、どうすれば良かったのでしょうか。
ベストな手段としては、代表者が存命の間から遺言などで株式の流れに差をつけておくことが考えられます。
これにより、会社を引き継ぐ相続人に株式・議決権を集約させることができます。
特に相続人が日本各所、場合によっては海外に分散しているような相続状況であれば遺言書の作成は必須と言えるでしょう。
その他には、さらに一歩進んで、事業承継をあらかじめ行っておくことも考えられます。
具体的な内容は避けますが、事業承継税制であったり、種類株式、家族信託等を用いながら総合的に事業承継を行う選択肢もあります。
ただこれは、司法書士・税理士などの色々な専門家の力を借りる手続きであり、費用も時間もかかります。(当然効果は非常に高いですが。)
そのために、まずは最低限、遺言を用いて株式・議決権の分散を避けるところから始めることをおすすめします。
当事務所では、こういった会社法人の代表者様向けの生前財産対策も行っております。
興味がある方は一度ご連絡ください。
高齢者大学と司法書士
神戸新聞のニュースで、兵庫県新温泉町の高齢者大学「宇都野学園」と「とちのみ学園」の書道教室で学ぶ生徒さん達が作品展を開いているそうです。
高齢者大学については、少し前からよく耳にするようになりました。
平均寿命が年々伸長しており、高齢期が長期化しています。
医療や社会保険制度の充実が主な理由ですが、高齢期が長くなると、認知能力の低下を多くの方が経験することになります。
現代の医療でも、低下してしまった認知能力を引き上げる術は基本的にはありません。
認知能力の低下を緩やかにすることが主な目的になっているのが現状です。
施設に入所し、親族のサポートがあるので生活には不安がないという方もおられるかもしれませんが、圧倒的に少数です。
多くの方は、認知症になった後の財産管理に何となく不安がある、遺言・相続に関して漠然とした不安があるはずです。
実際、私が出入りしている高齢者施設等での質問は、漠然としたものが多いです。
そして、認知能力が低下してからの相談になると、その不安はさらに曖昧なものになっていきます。
自分の不安を具体的に意識できる間に、司法書士等の専門家に相談してみることが大切なのです。
さて、高齢者大学で学習される方は「生涯学習」を目指しているのだと思います。
この生涯学習、高齢者が実際に行っている内容には以下のようなものがあるようです。
・健康法、栄養学
・運動、スポーツ
・趣味的なもの(書道、料理等)
他にもありますが、このように健康に生きるため、楽しく生きるための学習が大きな割合を占めています。
当然、健康が大切であるのは分かっていますが、身体の健康だけが伸びていくのでは十分ではありません。
また、認知能力の向上が現代医療では難しいのは前述のとおりです。
では、どうすればいいのか。
不安を事前に取り除くというのが、現状の最善策なのです。
具体的には、任意後見制度であったり、遺言書の作成、家族信託の利用です。
しかし、これらの制度は名前だけあるいは名前すら知られていません。
内容の知らないものを利用することに警戒感を抱くのは当然です。
そうなると、これらの制度を学習する他に選択肢はないのです。
生涯学習の中でこれらの制度を学習しないのはあまりにもったいないです。
健康に生きるため、生涯学習をしている方は、無用な不安を解消し、精神的にもより健康的に生きることを目指しましょう。
当事務所は、こういった制度を学びたいという方も大歓迎です。
出張で制度を説明してほしいという方は是非ご連絡ください。
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