司法書士業務の中でも、認知度の高い業務である相続登記。
相続登記とは、不動産所有者が亡くなった場合、その相続人に登記名義を移す業務のことです。
なぜこの相続登記をしなければいけないかをご説明します。
不動産の権利を動かすときには、不動産所有者が申請人として署名や押印をしなければならず、所有者が無くなってしまうとそれができません。
「じゃあ、亡くなった人の名前で署名とハンコを押せばいいじゃないか。」とずるいことを思いつく方もおられるかもしれませんが、そうはいきません。
不動産を売却したり不動産に担保を付ける場合には、印鑑証明書を添付しなければならないのです。
当然、死者の印鑑証明書は発行されないため、相続登記をしなければ不動産の権利を動かすことができないのです。
しかし、逆に言うと、現在の法制度では「処分・利用しない不動産」に関しては、相続登記をしないことの直接的なデメリットがなかったのです。
巷では、「相続登記を放置すれば、相続人がどんどん増えていき、かえって費用がかかる」だとか、「相続人が増えると紛争になる」などと言われています。
これは正しいのですが、現状では「どれだけ相続人が増えても使わない不動産は登記してもしなくても変わらない」という不動産も多いのです。
この現状は、不動産の有効利用の可能性を狭めるため、国・地方自治体としては好ましくありません。
例えば、田舎の利用価値があまりないような土地でも、工場を誘致したりする際には土地の売買契約・賃貸借契約が必要です。
この時、使えない土地だからと相続登記をしていなければ、土地の購入希望者は当然購入をためらい、土地の有効利用の可能性が減ってしまいます。
しかし、相続人の立場になってみると、工場誘致などは頻繁に起こることではなく、将来の薄い処分可能性のために現在の相続人が費用と労力をかけて登記をするかというと、必ずしもそうではないということにつながるのです。
このような土地がどんどん増えることで、相続登記が長年されていない土地が増加してきたのです。
これを「所有者不明土地」と言います。
このままでは所有者不明土地は増加する一方です。
そこで今回、相続登記が義務化されるという流れになったのです。
つまり、相続が発生した場合、相続登記をしなければ過料が科されるということになるのです。
司法書士にとってはもちろん、追い風になり得る法改正です。
ただ、義務化になる以上、一般の方が手軽に相続登記ができるように手続きが簡略化される可能性もあるでしょう。
とりあえず法改正までに情報を集めて、司法書士として柔軟に対応できるようにしたいと思います。
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