年度末がだんだんと近づいてきました。
司法書士業界も年度末、特に2月後半〜3月にかけては忙しくなってきます。
ありがたいことに、私の事務所でも年度末のバタバタした雰囲気が少しずつ押し寄せてきました。
さて、この年度末、特に増えてくる業務は「不動産決済」に関する業務です。
司法書士の王道とも言える業務ですが、具体的に司法書士がどんな段取りで動いているのかをご説明していきます。
不動産決済・不動産取引に関する業務で司法書士が表舞台に出てくるのは最後の最後、残代金の支払いの場面です。
通常、不動産のような大きな買い物をする場合は、手付け金と残代金の2回に分けて代金を支払います。
残代金の決済では、数百万円〜数千万円、時には数億円といったお金が動くことになり、そのお金が動くことで所有権が売主から買主へと移るのです。
しかし、所有権というのは権利であり、目に見えません。
その目に見えぬ権利をしっかりと公示させていくのが司法書士の役目なのです。
司法書士は、残代金の決済当日、お金が実際に動く前に権利証、印鑑証明などの書類、当事者の意思を確認します。
そして、所有権移転登記を確実にできる状態になって初めてお金が動くことを許可するのです。
つまり、お金の動きと所有権の動きを確実に公示するための最後の砦が私達司法書士なのです。
決済当日はこのように書類、意思の確認をし、お金を動かし、書類を法務局に提出するだけの仕事です。
しかし、この決済当日までには様々な準備を行なっているのです。
司法書士は、不動産決済の依頼を主に不動産業者より受けます。
当日までの大きな流れは2つ、売主側の準備、買主側の準備です。
まず、売主側の準備としては、登記簿上の住所と現在の住所に差異がないかを調べます。
不動産業者からの聞き取りなどで、住所に変更がある場合は、住所の変更登記の準備もしなければなりません。
住民票、戸籍の附表などを見ながら住所の変遷をつけていきます。
これをしなければ、当日、買主に所有権を移すことができません。
他には、売主が不動産に担保をつけている場合があります。
この場合、担保を外す登記をしてから買主に移転しなければなりません。
この登記のためには、金融機関との打ち合わせが必要です。
これも当日までに確実にしておかなければなりません。
以上が売主側の主な業務です。
次に買主側。当然、買主側はまだ登記簿に名前が載っていないので、住所の変更については変遷をつける必要がありません。
しかし、買主は売主とは逆にこれから担保を設定することが多いです。
その場合、貸付を行う金融機関との打ち合わせが必要で、多くの場合、決済当日までに一度はその金融機関を訪れることになります。
これが買主側の業務です。
言葉にするとこれだけですが、これが複数になってくると、打ち合わせの金融機関だけで膨大になってしまいます。
私も最近は、明石〜大阪間をバタバタと走り回っています。
少しでも当日の動きを減らし、ミスなく決済が実行できるように年度末に向け、頑張って行きたいと思います。
売主側、買主側のより細かい業務についてもまたお話していこうと思います。
当事務所では、不動産業者様からのご依頼だけでなく、一般の不動産買主様、売主様からの登記依頼も受けております。
信頼できる司法書士に依頼することは、取引当事者の権利です。
今、不動産を売ろう、買おうとしている方で、何か分からないこと、気になることがある方がおられればいつでもご連絡ください。