終活としての売却のススメ

相続登記が義務化になることが決定し、数年後には、相続登記の完了率は上がってくるでしょう。

これは司法書士としてもうれしいことです。

それと同時に、所有権放棄に関する法制度も進んでくるので、所有者不明土地問題は、今後発生するものに関しては解決が見えてくるはずです。

ただ、この所有権放棄の制度には、費用がかかることがほぼほぼ確定的です。

そうです、不要な不動産を処分するには費用が必要なのです。

具体的には、数年分の管理費等を納めることで放棄が認められることになりそうです。

ただ、不要な不動産の他に相続財産として、多額の預貯金があるならまだしもそうでなかった場合は相続人の足を引っ張ることになります。

負の財産があることで相続人間に紛争が起こることも否定できません。

では、どうすればいいのか。

不動産のままでの相続をできる限りしないということも選択肢として考えるべきなのです。

どれだけ相続人間で揉めようと、分ける対象がお金であれば、紛争は解決しやすいです。

なぜなら、相続人間で細かい金額調整ができるからです。

ただ、不動産、特に所有権放棄を考えるような不動産であれば、みんな持ちたくありません。

自らその不動産に手を付けて解決しようとする人もいなければ、いざ動こうとしても共有状態ではどうすることもできません。

共有状態が長らく続くと、管理する人もいなくなり、余計に不動産価値が下がるということもよくあります。

つまり、相続発生後に処分する必要がある不動産に関しては、あらかじめ自分の代で金銭に変えておくことが重要なのです。

価値がなくて処分ができない不動産について相談を受けることも多いのですが、実際に処分が全くできないことは少なく、数万円~数十万円という少額であれば処分先をご紹介できたことも多いです。

「せっかく大事にしてきた不動産が数万円かー」と嘆かれる方も多いと思いますが、これには目に見えない利益が隠れています。

それは、建物の解体費です。

不動産特に、古家付の不動産の場合、どこかのタイミングで建物を解体しなければなりません。

その費用は、数百万円かかることになります。

つまり、数万円の利益で不動産を処分できれば、将来的な利益は数百万円ということになります。

さらに、相続人間で紛争が起こる可能性も下げることができます。

これは、終活としては非常に効果が高いものです。

是非、ご自身の終活を考えられる場合、単に今ある財産を残すだけではなく「どのような形で残すのか」ということを意識してみましょう。

 

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