神戸市を中心に司法書士業務を行っている関係で、全く処分ができないという不動産相談はそれほど多くありません。
ただ、神戸は広く、場所によっては車が入れないような道しかなかったり、長屋の一部であったり、山奥であったりと中々買い手のつかない不動産もあるのが現状です。
そんな不動産であっても、解体費用=売買価格ということで、ほぼ価格0で処分することで所有権から逃れる事例は存在します。
つまり神戸であれば悪くとも、タダ同然の価格で不動産を処分することができることが多いのです。
ただ、神戸市以外の田舎であれば、タダでも買い手がつかないという地域も存在します。
その場合は、現行の民法では所有権から逃れる方法がありません。
こういった相談は、相続登記の場面でよくあります。
・父が亡くなって相続登記が必要。
・今住んでいる不動産は売ろうと思うが、田舎に山も持っているようだ。
このような状態です。
売却可能な不動産がある場合、相続放棄はせずに全て相続することが多いです。(その他に多額の借金がある場合等を除いて)
そうなると、問題になるのは田舎の山です。
通常、田舎の山は中々買い手が付きません。
宅地と比べて評価額も少ないため、固定資産税等のコストがかかるという負担はあまりありません。
ただ、管理状況によっては周囲に迷惑をかけることもありますし、他人が出入りする可能性も否定できません。
不動産を持ち続けることには必ずリスクがあるのです。
「では、家を売れなくなるのはもったいないけど、相続放棄をしよう」と考える方もおられると思います。
ただ、所有権と管理義務は別々に考えなければならないのです。
つまり、相続放棄をしても山を管理しないといけない義務からは逃げられないのです。
「じゃあどうしようもないのか・・・」というと、現行の法律では、このまま逃れられないことも多いのです。
しかし、最近お話した、相続登記の義務化と並行して、所有権放棄の法制化も進んでいるようです。
管理費の何年か分を納付することで所有権を放棄する手続きが検討されているのです。
これが実現すれば、先ほどの例で、自宅の処分益を山の管理費用の何年か分に充てて、不動産を総合的に清算していくことが可能になるのです。
こうすることで、世代間で永遠と続いていく管理義務からも免れることが可能になるかもしれません。
具体的な手続き方法についてはまだまだこの先詰めていくはずなので、今後の動向にも注目し、依頼者に最新の解決策を提示していきたいと思います。