最近、生前贈与の登記依頼が増えてきています。
終活であったり、生前整理といったキーワードが世間的にも認知されてきたことが一つの原因かもしれません。
ただ、司法書士が関与する生前贈与はいわば、最後の場面だけです。
「贈与を原因とする所有権移転登記」これができる士業は司法書士だけですが、生前贈与で重要なのは「そもそも贈与した方が良いのか」を検討する段階です。
というのは、贈与には贈与税という税金がかかるのです。
この贈与税、税金の中でも税率が高いものであり、また、元々の計算の基礎となる額も大きくなるため、税額も非常に大きなものになります。
そのため、「ただ今のうちに贈与しておきたい」という程度の漠然とした希望だけでするのは危険な手続きなのです。
最近多く依頼を受けた生前贈与の案件もその多くは税理士先生のご紹介が始まりでした。
相続時精算課税制度、配偶者控除などの税制を用いながらより負担の少ない形での贈与を実現していく中の最後の手続きを私が行ったということです。
ただ、それでは「司法書士は手続きだけをするのか」というと必ずしもそうではありません。
例えば、今回依頼を受けた案件では、税制の他、「遺留分」の対策、「後の相続人での紛争を防ぎたい」というご要望もあり、税理士先生とご一緒して、手続きのご説明を行いました。
遺留分であったり相続問題というのはやはり私たち司法書士のフィールドになります。
この場合には、司法書士も税理と同じく、手続き選択の際に頼れる専門家となるわけです。
では、結局どこに最初に相談すればいいのかというと、「一番実現したいことによって変わる」というのが一応の答えとなります。
例えば、「相続財産が多いので、相続税の対策を今の内からしたい」という場合は、先に税理士の先生を訪ねた方が話は早いです。
税金の面ではなく、「相続人に音信不通の人がいるため、今の内から何とか解決したい」であったり、「前妻との間に子供がいるから相続で揉めないようにしたい」等々、法律的にスムーズな遺産承継を目指したい場合は私たち司法書士を頼っていただいた方が確実です。
これはあくまで「最初に頼る先生はどちらか」というだけであり、税理士の先生に依頼してもどこかで司法書士は登場しますし、私の事務所へ最初に来ていただいても、いずれは税理士の先生と連携することになります。
大切なことは「自分だけでは決めない」ことです。
世の中には色々な専門家がいます。
ご自身の希望を実現するためには、世の中に多くいる専門家を上手く活用することが大切です。
「どこに相談していいかわからない」という方はまず、当事務所の無料相談をご利用ください。