今回は、相続放棄についての続きをお話しようと思います。
前回は、司法書士が扱う相続放棄の中で、3か月が経過しているケースでよくあるパターンをお話しました。
事件を受任した時は私も正直、「よくあるパターンだな」と思っていたのですが、最後の最後でそうではありませんでした。
というのは、相続放棄についての聞き取りがあらかた終わった後、「一つご質問いいですか。」
と聞いてくださったのがきっかけです。
私が、「はい、いいですよ。」と言うと。
「被相続人の死亡について医療ミスがあったかもしれないんですが、それは関係ないですか?」とのことでした。
驚いた私は、もう一度話を聞いてみました。
すると、亡くなった被相続人の死亡について弁護士さんに調べてもらっている最中だったことが判明しました。
私は、「あー聞いてよかった。」と内心思ったのを覚えています。
というのは、今回、相続放棄を全員でしてしまうと、もし医療ミスがあった場合に損害賠償権が誰にもなくなってしまうからです。
親族に隠してする程度の借金と、医療ミスがあった場合の損害賠償請求権。
どちらの方が金額が大きいかは明らかです。
そこで、弁護士さんと連携しながら「熟慮期間の伸長申立て」に手続きを変更したのです。
通常、この熟慮期間の伸長手続きとは、被相続人が亡くなったあと、相続財産を調査する期間が3か月では足りない時に利用します。
私も、通常のケースでは書類作成をしたことがあるのですが、今回は3か月経過後の相続放棄との複合パターンでした。
要は、「死亡~3か月は既に経過しているが、本来の起算点はここなのでそこから3か月を数えるべきだ」という主張と、
「さらにその期間は3か月では足りません」という二つを主張する書類を作らなければいけません。
私も、様々な資料を探し、時間こそかかってしまいましたが、弁護士さんとの連携もうまくいき、手続きを完了することができました。
後は、主の事件である、損害賠償請求がうまくいくのを祈るだけです。
司法書士として、今回の事件は非常に「司法書士らしいな」と感じました。
というのは、弁護士さんなどの他業種と連携をしながら、依頼者の利益に一番近づくように方針を決める。
この過程こそ司法書士らしい業務だなと考えているからです。
実際に訴訟を勝ち抜き、直接的に依頼者に利益をもたらすのは弁護士さんかもしれませんが、最悪のケースにならないように。
総合的に考えて利益となるように、道を作っていくような司法書士になりたいなと改めて感じた今回の事件でした。
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