相続登記や所有者の住所変更登記が義務化されることはこれまでなんどもお話をしてきました。
これは、当事者が所有者のみ或いは、相続人のみで完結する登記であるため、義務化の当事者が少なくなるため可能になったのかもしれません。
ただ、本来、不動産登記の登場場面の代表と言えばやはり不動産取引の場面です。
不動産を売却する・不動産を購入するという場面で司法書士が関与し、登記申請を行います。
具体的には、印鑑証明書であったり、権利証を確認し、登記意思が間違いないことを合わせて確認していきます。
そして登記意思・申請書類に間違いがないことを確認した後、お金の動きにゴーサインを出し、その後お金の流れを確信した後登記申請を行うのが現在の司法書士のお仕事です。
住所変更登記等が義務化になるに伴い、住所変更登記・相続登記などは簡易的なやり方が普及していくことが予想されます。
ただ、一部の登記が簡易化すれば、他の登記も簡易化されることが予想されます。
そこで登場する技術がブロックチェーンと呼ばれるものです。
例えば、不動産取引の場面でブロックチェーンを絡めると以下のような流れになるかもしれません。
・売主買主で売買契約を行う。
・登記に必要な書類等をお互いで確認する。
・取引内容をネットで登録する。
・ビットコインなどの仮想通貨でもって決済が実行される。
・登記申請が同時に完了する。
このようになる可能性があるようです。
そうです、不動産取引の場面で司法書士が登場しないのです。
こうなってしまうと、不動産取引を業務の中心としている事務所は大きな打撃を受けるでしょう。
私のように、成年後見業務であったり、債務整理業務もやっている司法書士であればこのような流れになってもすぐに経営が傾くことはないかもしれません。
ただ、経営が傾いた事務所は必然的にこれらの業務に流れ込んでくることが予想されるので、私としてもより新しい業務を勉強していかないといけないなと感じております。
さて、このように司法書士業務が打撃を受けるというのが、第一の予想なのですが、うまく適応すれば業務を広げていくことも可能なはずです。
例えば、先ほどの場面で、取引の完了画面の登録で司法書士がきっちりと関与していったり、当日来られない売主買主にしっかりと意思確認をしたりと、関与出来得る場面はまだまだ残るはずです。
登記申請などの機械的に処理できる部分に士業が必要なくなる流れを防ぐことは恐らくできないでしょう。
上手くテクノロジー・ITに適応した司法書士になっていきたいと強く感じました。