以前より、相続登記の義務化についてのニュースは何度かお伝えしてきました。
それに伴い、所有権放棄=土地所有権の国庫帰属制度についてもお話をしたことがありました。
現在、日本では相続登記が義務化になっていないため、主に山林や田舎の土地で相続登記が長期間未了になっています。
相続登記が終わっていない土地の多くは利用価値が乏しいものが多いのは事実ですが、市区町村などの自治体は固定資産税を課さなければならず、相続登記が終わっていない状態では不都合が生じます。
また、仮にこういった土地に利用価値が出てきた場合でも、相続登記が終わっていない状態では新たな土地利用者に名義を変更することができず、より一層土地の価値を下げてしまうことに繋がります。
こういった問題が段々と表面化したため、相続登記の義務化に向け、日本は舵を切ったのですが、相続登記には当然費用がかかります。
費用軽減などの方策も考えられているようですが、戸籍の収集などには労力がかかり、これは引き続き相続人にのしかかる負担となるでしょう。
それに加えて、やはり大きな問題は、相続した不動産そのものをどう処分するのかという問題です。
前回お話はしましたが、10年分の管理費等を国に納めることにより、所有権を国庫に帰属させられるようになるようです。
ただ、前回私が手に入れていなかった情報を手に入れたのでお話をします。
この国庫帰属制度には「できない土地」についての条件があるようです。
具体的には、
①建物や通常の管理又は処分を阻害する工作物等がある。(更地ではない)
②土壌汚染や埋蔵物がある。
③崖がある。
④権利関係に争いがある。
⑤担保権等が設定されている。
⑥通路など、他人によって使用されている土地に該当する。
以上の場合は、所有権放棄ができないようです。
④~⑥についてはある意味仕方がないように感じます。
国庫に帰属した土地に第三者が権利関与するわけですから、これは避けた方が良いように思うからです。
ただ、①~③はどうなのでしょうか。
前述のように、この所有権放棄は、「利用価値の乏しい不動産の所有者から離脱する」ための制度です。
①~③の条件はそのまま不動産の価値を下げる要素になっているため、この条件があると放棄したい不動産が放棄できない状態になるように思うのです。
利用価値の低い①~③のような不動産こそ放棄を認めることにより、相続登記も進むように思います。
まだ、条件を詰めていく段階だとは思いますが、この辺りは考えてほしいなと感じました。
引き続き情報が入り次第お話をしようと思います。