前回に引き続き、債務者を救う債務整理手段の一つとしての「特定調停」についてのお話をしていきます。
今回は主に、任意整理との比較を通じて、両者のメリットデメリットについて詳しく見ていきましょう。
まず、皆さんが気になるのは費用面ではないでしょうか。
前述のように、特定調停は債務者個人と貸金業者の交渉に簡易裁判所が用意する調停委員が立ち会ってくれるという制度です。
つまりこの手続きは基本的に裁判所の手数料しかかかりません。(司法書士等に依頼することも可能ですが)
具体的には、業者1社につき500円程度の手数料で済みます。
一方、任意整理はというと、現在、司法書士報酬は自由化になっており事務所によりまちまちです。
当事務所を例にすると、1社あたり2万5000円となっており、約50倍の手続き費用がかかってしまいます。
「じゃあやっぱり特定調停の方が得」というわけでもありません。
その理由は、各手続きの性質にあります。
特定調停は、裁判所を通じた手続きではありますが、自己破産・個人再生のように法的な強制力を持って借金を減額する方法ではありません。
あくまで、調停委員を交えた上で「双方の合意」が必要となります。
つまり、調停委員の意見を参考にせず、断固として借金の減額をしない業者がいても全く問題がないのです。
当然、任意整理も同じことが言えますが、任意整理はほぼ全てのケースで和解が成立します。
言い換えると、和解締結までの成功確率が任意整理の方が高いと言えるのです。(特定調停という時点で取り合ってくれない業者すら存在します。)
次は、和解による債務者への利益面にも差が出ることがあります。
任意整理は多くの場合、少なくとも将来利息のカットで和解し、交渉次第では既発生利息のカットも実現することができます。
しかし、特定調停は将来利息の減額はあっても、完全カットは業者として飲んでくれないことも多く、結果として減額効果が非常に薄いことがよくあるのです。
このあたりが手続き費用の差につながっており、初期費用が高めの任意整理でも通算で見ると安いということも頻繁に起こるのです。
最後は、和解終了後の拘束力についてです。
任意整理の場合、万が一返済が滞った場合でも業者からの督促があり、差押え等が即座にされることはありません。
しかし、特定調停の場合は、和解時に作成される調書が「債務名義」となります。
この債務名義とは、差押えをするための切符とでもお考えください。
つまり、特定調停による和解の場合、万が一返済が滞れば即座に差押えがされる可能性があるのです。
以上が任意整理と特定調停の大まかな違いです。
特定調停の最大のメリットは手続き費用が少ないことですが、その経済的利益も長い目で見ればメリットではないことも多いです。
それどころか、万が一の場合は差押え等の強制執行が即座にされることもあり、業者に武器を与えてしまうことにもなります。
是非両者の特徴を比較検討し、手続き選択をしてみてください。
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このコラムを通して、少しでも皆さまの抱えるお悩みの解決の糸口が見つかれば幸いです。
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