司法書士に債務整理を依頼した場合、よく用いられる解決方法についてはこれまで何度かご説明してきたかと思います。
具体的には、任意整理、自己破産、個人再生の三つの手続きです。
しかし、この三つしか方法がないかというとそうでもありません。
今回から、それらの手続き以外の第四の方法、「特定調停」についてご説明をしようと思います。
まず、特定調停とは、簡易裁判所で行われる債務整理の手段です。
これまで、任意整理は司法書士等の専門家が。自己破産及び個人再生は地方裁判所でその手続きが行われます。
特定調停のみ、舞台が簡易裁判所になります。
では、具体的にどのようなことをするのかというと。
簡易裁判所が、債務者と債権者の間に入り、話し合いの仲裁を行ってくれるのです。
いうなれば、「簡易裁判所による任意整理」のようなイメージです。
続きまして、具体的に特定調停がどのように進められていくのかもご説明しましょう。
まず、債権者の(お金を借りている相手)の住所地を管轄する簡易裁判所に対して申立てを行います。
必要書類としては、申立書、収入印紙、予納郵券(郵便切手)等です。
裁判所は債務者から、特定調停の申し立てを受理すると、債権者に対して通知書を送ります。これが任意整理の場合の受任通知のような扱いです。受任通知と同じく、債権者の請求がストップします。
通知書を受けた債権者は、債務者との間の取引履歴を開示します。この辺りも任意整理と似た流れになります。
取引履歴の開示が終われば、裁判所は債務者に対し、調停準備日を定めて通知します。
そしてその調停準備日には、家計の状態が分かるものを持参し、調停委員との面談が行われます。
具体的な必要書類は、源泉徴収票であったり、給与明細書、支出を示す家計簿などがこれにあたります。
調停準備日が終わればいよいよ調停の日がやってきます。
この際、調停員が間に入り、両者の調整を行ってくれます。
提出された取引履歴、債務者との面談で得た情報などから、返済条件等の落としどころを探ってくれるのです。
そして、調停により双方が合意すれば、調停調書が作成されます。
調停調書が手元に届けば、その内容に基づいて以後の返済を行っていくことになります。
これが特定調停のざっとした流れです。
以上のように、特定調停は間に入る調整役が、司法書士→簡易裁判所の調停委員に代わったような制度なのです。
受任通知により請求がストップしたり、取引履歴が開示されたり、両者和解後に支払いが始まるというプロセスが似ていることからも分かると思います。
「じゃあわざわざ司法書士に任意整理を頼む必要がないのではないか」と思われる方がおられるでしょう。
それについては次回お話をしようと思います。