前回までに引き続き、給料ファクタリング、給与ファクタリングについてお話をしていきます。
前回は、そもそもファクタリングとは何かということに重点を置いてお話をしました。
ファクタリングとは、債権を売買することにより、債権者が早く債権を現金化する方法です。
この債権を取引することそのものが違法でないことは前回述べました。
しかし、このファクタリングについては最近、判例も出てきており、債務整理をしている司法書士等の専門家には追い風となっています。
例えば、この3月に出された東京地裁による判決。
全文をここに掲載することはしませんが、大切な部分としては以下の部分。
・給与ファクタリングが貸付に該当する可能性があること。(東京地裁のケースでは貸付けと認定)
・給与ファクタリングが貸付にあたる場合、貸金業法の登録が必要。
・貸付にあたる場合、制限利率が適用される。(過払い金請求が理論上可能に)
・法外な利率の場合は、取引が無効になり、交付を受けた金銭の返還義務を負わない。(ヤミ金のような扱い)
これらの要素が非常に重要です。
前回お話したように、元々ファクタリングの理屈としては、貸金業には当たらないのが原則です。
前回例に挙げたように、事業者としては売掛金の回収を早くするために利用し、ファクタリング業者としては回収できないリスクもある中で債権を購入するため、基本的には双方対等な立場での取引と言えるからです。
しかし、今回東京地裁で出された判決や、大阪でのファクタリング業者の逮捕案件では、ファクタリングの中でも、給与ファクタリングというものが問題となっていました。
この給与・給料ファクタリングとは、言い換えると、「給料の前借」制度です。
例えば、こんなケース。
・給料日は20日後だが、お金がない。
・給料は毎月手取りで20万円
この時に、ファクタリング業者は、20日後の給料20万円を15万円で購入するのです。
ファクタリングの構造としては前回の例と同じです。
しかし、違いがいくつかあります。
・給料債権が他の債権と比べ回収可能性が高いこと。
・ファクタリング業者と債権を売る人との立場が対等でないこと。
以上がその中でも大きな違いです。
まず、給料は労働者の生活の基礎となるものなので、差押えするにも制限があり、払う側の企業にとっても給料を払えなくなる段階は最後の最後です。
つまり、債権回収の可能性が売掛金など他の債権に比べ非常に高いのです。
通常、回収可能性の高い債権は「高く売れる」はずです。
しかし、20万円の債権が15万円で買われている以上、評価は不当に低くなっています。
その理由が立場の違いなのです。
給料の前借をしたい債権者は確実に生活に困窮しています。
つまり、不当に債権を低く評価されても売らざるを得ないのです。
この辺りの不当な関係性が、給与ファクタリングがヤミ金同様に扱われた理由なのでしょう。
今回はここまでにします。
次回はより具体的に給与ファクタリングの問題点、解決法をお話していこうと思います。
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