総務省統計局の国勢調査によると、日本人の生涯未婚率は2015年の時点で男性約23%、女性で約14%となるそうです。
それに加え、離婚率の上昇・社会の高齢化により、全世帯に占める単身世帯の割合は2010年に3割を超え、2040年には約4割に迫るとの予想がされています。
身体が元気なうちはそれでも大丈夫かもしれません。しかし、最後まで誰の手にもかからずに死んでいくのは不可能と言えます。
単身世帯でなければ、病気に罹った時あるいはケガをした時には、当然ですが家族が助けてくれます。また、病気・ケガといった直接的に支援が必要な場合だけでなく、各種補助金や社会的なサービスを受けたい場合の手続きも単身世帯であれば全て自分で行わなければなりません。そもそもそういった情報にも敏感になっておく必要もあります。
では、現在あるいは将来的に単身世帯となる場合はどのようにして社会と繋がればいいのでしょうか。
その対策はいくつかありますが、まずは「養子縁組」をする方法です。
養子縁組を行えば、養子は実子と同様に扱われることとなります。そのため、直系血族間と同様に、扶養義務・成年後見等の申立権・相続権などが発生します。
単身世帯であっても、同居あるいは近くに住んでくれる方を養子に迎えることができれば、「家族として」無縁状態を脱することができます。
しかし、当然ですが、養子を迎えるのはなかなかハードルが高く、養子縁組を用いた犯罪があるのもまた事実です。
そこで、違う対策として「任意後見契約・見守り契約・死後事務委任契約」というものがあります。これは、任意後見契約等の契約を結び、「契約でもって社会と結びつく」方法です。
任意後見契約を結ぶことにより、病気や怪我があった場合の身上監護、認知症になった場合の財産管理を受任者に任せることができます。
これも養子縁組同様、信頼できる人を見つけることが必要となりますが、養子にするのと比べると相続権が発生することも、氏の変更といった問題もなく、制度上のハードルとしては低いです。
しかし、この制度はまだまだ普及していません。理由はいくつかありますが、心理的なハードルが高いことが一つ挙げられます。
日本においては、自分の生活における不安を契約で解決することにまだまだ抵抗があります。
自分に何かあったらどうなるのだろうと漠然と考えている方は多いにも関わらず、その不安を契約により解決しようとする方はまだ多くないのです。
しかし、前述のように現在の日本における家族の在り方は、昔とは大きく異なっています。
従来、「家族で助け合っていた問題」は「契約により専門家に任せる問題」に変わってきているのです。
今はまだ冷たいように感じるこれらの制度ですが、これからの十数年でこの感覚は変わっていくはずです。今できることを考えていきましょう。
自分の将来の生活に不安を抱えている方は是非一度ご相談ください。今回挙げた解決策に加え、信託等の他制度を組み合わせ、あなたに合ったプランを提案いたします。