このページの目次
・株式・有価証券の名義変更について
株式等の有価証券の相続手続きについては、預金関係の手続きとほとんど変わらないです。現在、有価証券として考えられるのは、株式・国債・投資信託などですが、そのほとんどは手続き先が証券会社となっており、口座の把握から承継手続きまで、銀行の窓口で行ったことを証券会社の支店で行うだけで大丈夫なケースがほとんどです。
そこでここでは、特に株式について、預金の相続手続きと異なる点についてお話していこうと思います。
・預金の相続との差異について
預金の際、相続手続きでは、最終的な承継方法として、「名義変更」もしくは「解約払戻し」という方法がありました。しかし、株式の承継については、ワンクッション別の手順を挟む必要があります。それは、相続移管手続きと言われるものです。これは、被相続人の口座に入っている株式を相続人が開設した口座へ移動する手続きです。
実は、株式というものは名義人ごとに振替口座簿により管理されており、口座の名義人以外の人が売却などの取引を行うことができません。つまり、株式を売却するにし、現金化した後に相続人で分割しようとしても、被相続人名義の口座に入ったままではすぐにできないのです。証券会社に相続移管手続きを依頼し、相続人の口座へ株式が移動、そして売却、現金を分ける。株式の現金化による承継手続きはこのような流れとなります。
・相続移管手続きについて
では、相続移管手続きとはどのようなことをすればよいのかというと、これも実は大変なことではありません。証券会社所定の依頼書の様式があるので、支店へ出向く、あるいは郵送等で書類をもらい、それに記入するだけです。添付書類も多くの場合は、戸籍謄本・印鑑証明書等、預金の相続手続きで求められたものと変わりません。移管手続きさえ終わってしまえば、その株式を売却するのは自分の株式を売却するように、証券会社に指示するだけです。
・有価証券の相続手続きの注意点
株式をはじめとする有価証券の承継手続きについては、ここまでご説明した通りですが、有価証券の相続についての注意点はむしろ手続きが終わってからにあります。株式の売却を行った場合、「譲渡所得税」なるものが発生する可能性があります。後に、確定申告・納税が必要になりますので、取引の履歴、残高報告書などの書類は必ず保管しておくようにしましょう。また、有価証券の額が大きい場合は税理士さんに先に相談しておいた方がいいかもしれません。
・当職が行う場合
当職が上記業務を行う場合は、移管先の口座として預かり口座を作成することで、他の相続人の財産との混同を防ぐことができます。また、手続きも相続人の皆様に証券会社へ出向いていただくことが基本的にはなくなり、スムーズに進められます。さらに、特殊な有価証券である、非上場会社の株式・会社の社債等、一般的な有価証券以外の手続きも行うことができます。