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司法書士と供託ー②
前回に引き続き、司法書士の業務の一つである、供託業務についてのお話をしていきます。
前回は、弁済供託の登場場面についてご説明をしましたので、今回はその手続き方法から。
まず、供託をする役所ですが、これは「法務局」です。
不動産登記・会社法人登記といえば法務局というイメージがあるかもしれませんが、法務局は供託に関する業務も行っております。
この辺りも司法書士と密接している役所と言えるかもしれません。
では、どの法務局に供託してもいいかというとそうではありません。
不動産登記等と同じく、供託にも管轄というものがあります。
不動産であれば、不動産がある場所に応じて管轄が決まっております。
法務局は場合によっては現地に調査に行くこともあるため、近くにある法務局が管轄するのは理にかなっていますね。
供託手続きもこれと同じです。
具体的には、「債務の履行地」により管轄が決定されます。
ただ、不動産の場合とは違い、供託業務は〇〇法務局〇〇出張所では基本的にすることができません(一部の出張所では可能)
つまり、不動産の管轄よりも供託の管轄は広く設定されています。
理由は、事件数が不動産に比べると少なかったり、現地調査が不要であったりと様々あるでしょうが、この管轄には少し注意が必要です。
次に問題なのは「債務の履行地」とはどこなのか、ということです。
これも原則からお話をすると、債務の履行地とは「債権者の住所地」が原則です。
前回挙げた家賃の増額に関する弁済供託であれば、「大家さんの住所地」が基準となります。
例えば、大家さんの住所が神戸であれば神戸地方法務局の本局、養父市の方であれば神戸地方法務局豊岡支局ということになります。
ここまでが、どの供託所(法務局)に供託をすればいいのかという話です。
次は、どのように供託をすればいいのかという話です。
必要書類等は以下のとおり。
・供託書(法務局でもらえます)
・供託金
・被供託者宛の封筒
・委任状(代理人により行う場合)
以上の書類を用意し、法務局に対して申請を行います。
これはオンラインでも手続き可能です。
流れとしては、まず先行して供託書を法務局に申請し、審査が行われます。
書面での申請の場合、提出時に現金を持参することも可能です。ただ、その場合は、事前に打ち合わせをしておいた方が無難です。
現金持参の他にも、日本銀行の本店・支店・代理店に納入する方法、ネットバンキング、振込等々で納入することが可能です。
法務局は、供託書に書かれた供託原因を精査し、供託が可能かを審査します。
具体的な供託原因についてはこれも次回。
そして供託書の審査が終われば、供託金の納入が可能となります。
オンライン申請であれば、納入までネットで進められます。(先ほどの書類は郵送が必要ですが)
供託金の納入後は、法務局から被供託者へ供託書が通知され、供託がされたことが伝えられ、手続き終了となります。
これにより、強制的に弁済を行うことが可能で、家賃を支払っていない状態から脱することができます。
以上が簡単な供託の流れです。
次回は、具体的な供託原因等々についてお話をしていきます。
当事務所では、債務整理・供託・相続等、業務内容・対応地域に関わらず依頼に至らなかった場合は費用をいただいておりません。
相談も無料相談形式でご対応しておりますので、お気軽にお声掛けください。
司法書士と供託ー①
司法書士の王道業務と言えばやはり、不動産登記・商業登記・相続登記、この辺りが挙げられると思います。
ただ、それ以外にも当事務所のように債務整理であったり成年後見業務にも力を入れている事務所もあります。
これらの業務は多くの司法書士がやっているのですが、この他にも古くから司法書士の本来業務と呼ばれる分野があります。
それは「供託」業務です。
今回から数回に渡ってご説明していきますので、参考になさってください。
「え、私の悩みが供託で問題が解決できるかも」と思われる方もおられるはずです。
ではまず、そもそも供託とは。
供託とは、金銭であったり有価証券を国の機関である供託書(法務局)に提供することで、一定の法律上の目的を達成させる制度のことです。
このままでは分かりづらいので、民法、民事執行法等で規定されている供託の5つの効果・種類からご説明していきます。
まずは、弁済供託。
この供託が一番イメージしやすいかもしれません。
以下の具体例をイメージしてください。
・供託者(供託金を支払う人)はアパートの借主
・被供託者(供託金を受け取る人)はアパートの大家さん
・これまでの家賃は5万円だったが、急に大家さんから8万円への増額を言い渡された。
・供託者は納得いかないので、これまで通りの5万円を大家さんに持参したが、増額後の8万円でなければ受け取らないと言われた。
このようなケース。
大家さんの思惑としては、家賃を増額したいというのは建前で、実際は払えない借主たちを追い出して、アパートを取り壊して不動産を売り渡したいということが考えられます。
しかし、急に増額を言い渡された供託者にとってはたまりません。
引っ越すにしてもお金がかかるし、時期によっては動けないこともあります。
「大家が勝手に値上げして、その上、家賃を受け取らないから放置すればいいじゃないか」
とお考えの方もおられるでしょう。(僕も当事者ならそう考えるかもしれません)
しかし、司法書士として回答すると、一切の家賃を払えない状態は非常に危険です。
当然ですが、家賃を払わなければ家を追い出されてしまいます。
逆に言うと、追い出す権利が大家さんに生まれてしまうのです。
「大家が勝手に受け取らないのにおかしい」その通りです。
ただ、このような家の賃貸に関する法律である、借地借家法では、家賃の増額等で協議が整わない段階では「借主の相当と考える額を支払えばよい」ということになっています。
つまり、払わなくてもいいのではありません。
でも受け取ってもらえない。この時に登場するのが弁済供託なのです。
っと、少し長くなってきたので具体的な手続き方法等は次回ご説明します。
当事務所では、登記・相続等の業務はもちろん、供託・債務整理・成年後見等々様々な業務を行っております。
依頼の内容に関わらず、全て無料相談です。
是非お気軽にご連絡くださいませ。