相続登記が義務化されることはこれまでもお話をしてきたとおりです。
具体的には、
・自己のために相続の開始があったこと
・対象の不動産の所有権を取得したこと
を知った時から3年以内に相続登記をしなければならないとされることになります。(遺贈なども含まれる)
この「自己のために相続の開始があったこと」については、私のホームページ内でもお話したことがあります。
相続登記の場面ではなく、相続放棄の場面ですが。
相続放棄の申述は自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内にしなければなりません。
相続放棄については多数の判例もあるため、相続放棄の義務化がなされた後は、こういった判例も生かされていくのではないでしょうか。
さて、相続放棄の場合は、この3か月以内に相続放棄をしなければ相続放棄ができなくなる、すなわち相続するしかなくなります。
では、今回の法改正である、相続登記の義務化ではどうかというと、「10万円以下の過料」を科される扱いとなるようです。
10万円。。。痛いですね。
相続登記については、所有者不明土地を解消するために多少の罰則は必要かと思います。この10万円の額がどうかは別として。
ただ、今回は追加情報として、相続登記だけではなく「氏名変更の登記」であったり「住所変更の登記」も義務化されるようです。
司法書士のイメージとしては商業法人登記に近づいたように感じます。
商業法人登記は、例えば代表者の住所変更であったり、会社の本店が変わった場合には「2週間以内」に変更の登記をしなければいけないことになっています。
今回の改正により不動産登記に関しても「変更があればすぐに登記」という扱いに変更となるわけです。
私たち司法書士としては悪い話ではありません。
当然、住所変更などの登記件数が増えるわけですからね。
ただ、これは前回の相続登記義務化に関しての記事でも申し上げましたが、義務化には簡略化もセットになるべきです。
例えば、住所・氏名の変更をすれば自動若しくは自分自身で簡単に登記ができるようなシステムにいつかはなるでしょう。
そうなると私たち司法書士の仕事はむしろ減少することも十分にあり得ます。
そうなった場合に、消えていく司法書士事務所も当然増えていくでしょう。
しかし、私たちの仕事は本来、「誰にでもできるはずの仕事を代理で行う」仕事です。
そんな司法書士業界の中でも私にしかできない仕事を増やしていこうと改めて感じた今回の法改正でした。
法改正は2024年施行予定です。