以前お話しました、株式会社の清算結了登記の抹消登記が無事完了しました。
結局、添付書類としては、以下のとおりでした。
・上申書
・債務が残っていることの証明書
・委任状
以上です。
通常の清算結了登記の抹消登記のケースでは、清算業務が残っていることの証明として「財産が残っていることを示す」証明書を添付します。
例えば、法人名義の不動産がまだ残っていることを示す不動産登記簿の謄本。
法人名義の通帳口座の通帳などがこれに当たるでしょう。
ただ、今回は、対象会社には債務しか残っていませんでした。
前回も少しお話したように、債務超過の会社が会社を畳む場合は、特別清算や法人破産などの債務整理の手続きを経る必要があるため、司法書士だけの関与ではできないことがあります。
しかし、多くの司法書士が関与している会社はほとんどが中小企業であり、そこまで大規模な清算業務をすることはありません。
プラスの財産があれば株主に分配し、負債があっても代表者へ債務引き受けを行い、会社としての債務は0にして清算業務を完了させるのです。
今回のケースも基本線はこの債務引き受けパターンでした。
よって、一度目の清算結了をした時は、残債を債務引き受けしたことを株主総会で承認してもらい、清算業務を結了させていました。
ただ、その後に他の金融機関からの借り入れがあったことが判明し、清算結了登記の抹消が必要となったのです。
一度清算結了登記をした会社に債務が見つかった・・・
つまり、ほぼ間違いなく「債務超過」状態であるのです。
よって普通に抹消登記を申請しても登記は通りません。
そこで、「上申書」の内容が重要になってきます。
要は、「清算結了段階で、会社に債務が残らないこと」を上申する必要が出てきます。
その理由は様々考えられます。
可能性としてはかなり低いですが、借金だけでなく、それを上回るプラスの財産も見つかった。これもあり得ます。
他には、債務は見つかったが、金融機関が債権放棄をしてくれることが決まっている。これも理屈としては考えられますが、放棄するならわざわざ会社を復活させることを金融機関は求めないでしょう。
次に考えられることは、見つかった債務を全額代表者へ引き受けてもらい、法人の債務を0にする。これが今回パターンでした。
めったにない登記でしたが、今後もあるとすればこのパターンかなと思います。
上申内容としては、
・対象法人に債務が見つかったこと。
・この債務は代表者への債務引き受けがされることが金融機関との協議で決まっていること。
・よって対象法人が債務超過になることはないこと
以上を踏まえた上申となります。
登記申請の際、債務があることを示す証明書の他に、債務引き受け契約書の添付も求められるのかなと思いましたが、そこまでは求められず、無事登記が完了しました。
もし同じような案件にあたった方がおられたら、参考になさってください。