前回、過払い金とみなし弁済についてお話をしましたが、今回はその続きです。
司法書士として、過払い金返還請求業務自体はもうほとんどなくなってきていますが、やはり債務整理受任時にはよく質問を受けます。
前回と引き続き、今回の記事も参考になさってください。
前回、最後の所で、ご自身で請求なさる場合はみなし弁済の主張に対しては強気に対応してくださいとお伝えしましたが、その理由をお話します。
平成15年以降から、債務者側に有利な判例がどんどん出されてきたのがその理由となります。
代表的なものは、まず、平成16年2月。この判決により、みなし弁済が認められるための貸金業者側が交付する書面が厳格に審査されることが明らかになりました。
そして、平成17年7月。この判決は、債務者側からの取引履歴の開示請求に対して、貸金業者側には開示義務が生じることが示されました。
この二つにより、債務者側は貸金業者と戦える環境になったのです。
取引履歴を開示させ、制限利息内の利率にて計算し、貸金業者に請求をすることが多くの債務者において可能となったのです。
そして続く平成19年6月、平成20年1月の判決では、繰り返し借り入れと返済を繰り返す取引(いわゆるリボルビング)において、一度発生した過払い金は、続く借り入れ債務に充当されることが示されました。
これにより、さらに多くの債務者が過払い金返還請求を行うことが可能になりました。
また他にも、発生した過払い金に対して貸金業者側が利息を支払わなければならないことが示されたり、過払い金の消滅時効の進行が取引が終了した時から進行することが示され、どんどん債務者に有利な判決が集まっていきました。
これらの判決が、もし過払い金返還請求を自身で行う場合の武器となるものです。参考になさってください。
最後に、もしこういった事情があれば債務者にとって不利ということもお伝えします。
債務者にとって不利な代表的な状態は「取引分断」という状態です。
具体的には、リボルビング契約で「一旦完済している」状態のことを言います。
前述したように基本的には一旦完済しても一連の取引と扱います。
ただ、完済から数年経過後、新たに借り入れた場合。
完済後、カードや契約が変わった後、新たに借り入れを行ったなどの事情があれば債務者にとって不利になります。
よってそのような事情がある場合は司法書士等の専門家に依頼することをお勧めします。
このような場合では、貸金業者側も強気になり、交渉が長引くことが予想されるためです。
以上が過払い金返還請求をご自身で行う場合の交渉材用です。
もし、それ以前に「過払い金によって債務整理が楽にならないか調べたい」という方がおられれば、いつでもご連絡ください。
匿名の段階でも、各種ご質問についてはお答えをしております。
このコラムを通して、少しでも皆さまの抱えるお悩みの解決の糸口が見つかれば幸いです。
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