債務整理業務の中で、ヤミ金業者と相手をしなければいけないことも昔は多くあったようですが、現在はあまりないです。
ただ、債務者の方を取り巻く環境は日々変化しており、最近、新たな手法が債務者の生活を脅かしています。
そこで、今回からの数回を使って、「給与ファクタリング」についてお話をしていこうと思います。
大阪府警により、この給与ファクタリングが初めて摘発されたようですが、この神戸・兵庫県でも起こっている問題であろうと考えております。
債務整理業務をこの先も続けていく以上、こういった制度で苦しんでいる方も増えてくるだろうということで、今回、自分の知識を整理するためにも文字に起こしていこうと思います。
これをお読みのあなたも、今回からの数回でこのファクタリング・給与ファクタリングについて知識を深めていただければ幸いです。
では、第一回となる今回は、そもそも「ファクタリングとは何か」ということからご説明してまいります。
ファクタリング(factoring)とは、売掛債権買取・回収業務のことを言います。
つまり、個人ないし法人が誰かに対して持っている債権を買い取る業務のことです。
分かりやすいように、司法書士業務を例にご説明します。
司法書士業務のほとんどは、手続き完了の後で報酬を受領します。
12月1日に相続手続きを完了し、10万円の報酬は来月末までにの入金するという約束だったとしましょう。
しかし、年末年始で多額の現金が必要となってしまった。
来月末に入ってくる報酬があれば、何とか乗り切れるのに・・・
そうだ、来月入ってくる10万円を受け取る権利を誰かに9万円で売ろう!
というのがファクタリングの例です。(当事務所は例に挙げたような財務状況ではありませんので、ご安心を。)
この場合、10万円の債権を9万円で買い取ってくれるのが、ファクタリング会社ということになります。
ファクタリング会社は、債権の満額で買取を行うと儲けがないので、手数料という名目で債権の何パーセントかを差し引いた額で債権を買い取るのです。
この手数料がファクタリング会社の儲けとなり、売掛金を満額とはいかなかったものの、当初の期日より早く現金化できることが事業者のメリットとなります。
「なんだ、双方にメリットがある素晴らしい制度じゃないか」と感じた方もおられるかもしれません。
確かに、この制度は双方にメリットがある制度です。
しかし、条件によってはそうは言えません。
例えば先ほどの例で、手数料が5万円だった場合。
債権を早く現金化したいと考える場合、お金に困っていることが前提となります。
そのため、法外な割合であっても債権の売却をしなければいけないということもあり得るのです。
こうなってしまうと、winwinの対等関係ではなくなってしまうのです。
これがファクタリングで起こり得る一番単純な問題点です。
残念なことに、このファクタリング業務というものに参入する際に登録や許可が現行法上必要でないため、質の悪い業者も参入しているのです。
っと、ここまでがファクタリングとはそもそも何か、というお話です。
次回は、ファクタリングと貸金業についてさらにお話をしようと思います。
当事務所では、給与ファクタリング等の新たに債務者の生活を脅かす制度についても情報を随時取り入れています。
日常の生活で何かお困りのことがありましたらいつでもご連絡ください。