相続登記の義務化がだんだんと近づいています。
相続登記が義務化になると、司法書士としては業務が増える可能性が高いため、うれしいニュースです。
ただ、義務化に伴いより複雑な案件に遭遇する可能性も恐らく高くなるでしょう。
たとえば、「相続人間で誰も実家の所有権を欲しいと思っておらず、遺産分割協議が進まない。」
というケース。
相続人間で遺産を取り合うケースであれば、遺産分割調停などの裁判上の手続きへ移行する相続人も出てくるでしょう。
ただ、誰も相続人となりたくないケースではそうはいきません。
誰も何も言いださず、誰かが解決してくれるのを待ったり、相続放棄をする相続人が続出したりという流れは容易に想像がつきます。
預貯金であったり有価証券であれば、相続放棄をすれば終わりです。
しかしながら、不動産には「管理義務」というものが存在するのです。
不動産、特に空き家の場合、誰も管理しなければ劣化していきます。
近隣に迷惑をかけずにただ朽ちていけばいいですが、倒壊で近隣に迷惑をかけてしまうことはよくあります。
それ以外にも、出火したり、不審者が住み着いたりする可能性も大いにあります。
そうです、不動産には管理者が必ず必要なのです。
そしてこの管理義務は、相続放棄しただけではなくならないのです。
ではどうすればいいか。
ベストな選択肢は、再三私のホームページで言っているように「生前に現金化」することです。
これができれば完璧な終活と言えるでしょう。
ただ、施設や病院に長期間入ってから亡くなるという流れが全ての人に当てはまるわけでは当然ありません。
ご自宅で息を引き取るという方も多くおられるのです。
そうなると、処分のタイミングは被相続人が亡くなった後ということになります。
相続人が近くにいれば、処分するのも可能かもしれませんが、昨今では相続人が遠方に散っていることも少なくありません。
処分したくともできないということに繋がっていくのです。
そんな時に利用を検討したいのが、いわゆる「空き家バンク」と言われるものです。
この空き家バンク、空き家を処分したい人がこの空き家バンクに登録し、空き家を利用したい人と引き合わせるというものです。
一般的な売却仲介と異なるのは、母体が公であるということです。
仲介業者というのは手数料商売です。
どうしても売却価格の低くなりがちな空き家の処分に積極的に動いてくれる業者は中々見つからないのです。
長くなりそうなので、今回はここまで。
次回は具体的な空き家バンクの具体的な使い方をご説明します。