神戸にお住まいの方なら、最近の印象的なニュースとして、こちらを思い浮かべるのではないでしょうか。
ついおとといのニュースです。
神戸市北区の路上で、当時高校生の少年が何者かに刺殺されたという未解決事件の容疑者が逮捕されたというニュースです。
2010年当時に高校2年生の少年が刺殺されたというこの事件は、神戸市民以外にも強烈な印象を残したのではないでしょうか。
私も、当時は同年代の高校生が近くの神戸市で被害に遭ったと耳にし、衝撃を受けたのを覚えています。
交番などの掲示板では、犯人の目撃情報を基にした似顔絵が掲示されていましたが、逮捕されたのは、当時被害者と同年代の元少年。
この元少年の人相は分からないものの、似顔絵とは異なっていたのではないかと思います。(似顔絵はどう見ても当時高校生の年代には見えませんでした・・・)
それだけに今回、捜査が無事に進行し、容疑者逮捕に結びついたことに驚きを感じました。
事件発生から、実に10年以上が経過していました。
未解決の期間が長くなれば、皆さんが気になるのは「時効」という論点かと思います。
私たち司法書士も多くの業務の中でこの時効を意識しています。
ただ、今回の事件のような刑事事件における時効と私たち司法書士が普段意識している民事での時効は大きく内容が変わっています。
民事における時効は。おおよそ全ての場面で発生し得る制度です。
また、民事の時効は、当事者が時効を援用することで時効の効果を得ることができます。
しかし、今回のような刑事事件における時効とは「公訴時効」のことを指します。
この公訴時効とは、この期間が過ぎるとたとえ犯人であってもその罰を処罰することができないという性質のもので、当事者の援用は関係がありません。
殺人・強盗致死などの凶悪事件にまでこの公訴時効があってもいいのかという論調は常にあり、実際、今回のニュースが起こった2010年には、
・殺人
・強盗致死
・強盗、強制性交等致死罪
・爆発物使用罪
のうち、法定刑の上限が死刑に当たるものについては公訴時効が撤廃されました。(他にも凶悪犯罪の公訴時効が延長されました。)
当然、もしこのような改正がされていなかったとしても、10年程度で公訴時効は来ていませんでしたが、やはり凶悪事件が未解決となると公訴時効は意識せざるを得ないでしょう。
今回の事件には、当時少年が犯罪を犯していたという、少年法との絡みでも色々な意見があるでしょう。
それについてはまた別の機会にお話をしたいと思います。