司法書士として、業務に関係する統計であったりデータというものは注意して見るようにしています。
今日は、その中で「相続放棄」に関する統計をご紹介します。
もし、ご自身で相続放棄をしようと考えている、身近に相続放棄が必要な方がいるという方は参考になさってください。
データは、司法統計によるものです。
まず、相続放棄の件数から。
相続放棄の件数は、平成28年の19万7656件から令和元年の22万3415件まで、右肩上がりで増加しています。
当然、死者数が増加するとこの相続放棄の件数も増加するので、死者数との比率でみると、
平成28年15%、令和元年は16%とこれもやはり増加傾向です。
となると、親族が亡くなった時に、相続放棄が必要な方の数は今後も増えていくことが予想されます。
自分には関係がない話とは考えずに、自分に無駄な債務が降りかからないように、うまく立ち回ることが大切なのです。
次は、相続放棄の申述を行った場合に、無事認容される割合を見てみましょう。
これは令和元年の数値です。
この年に申述され、事件が完結した22万2924件の内、認容となったものは21万7747件で、割合にすると97.67%となります。
これを見ると、「ほぼ認められる」と感じると思います。
その通り、相続放棄というのは基本的には申述をすれば高確率で認められるのです。
そこには、相続放棄というものは「期間」が法定されているので、申述する側も認められるかが判断しやすいという理由があります。
相続放棄は、基本的には3か月以内に行わなければいけません。
逆に言うと、3か月以内にしておけば、却下されるわけがないのです。
これが、97%という高い認容率に繋がっています。
ただ、反対に、3か月経過後の相続放棄は中々ハードルが上がります。
被相続人が亡くなってから3か月経過後に相続放棄を行う場合、「3か月の起算点が被相続人の死亡時ではなかったことを疎明しなければならないのです。
この疎明が出来なければ、相続放棄が認められることはありません。
そして、この相続放棄、一発勝負です。
一度自分でやってみて、無理だったら司法書士に頼むということはできないのです。
これが相続放棄の怖い所です。
このような点から、「3か月経過後の相続放棄は司法書士へ」と言われているのです。
以上が、直近の相続放棄に関する統計です。
もしご自身でこれからやろうと思う方は、まず、「被相続人の死亡から3カ月経過しているか」を考えてみてください。
3か月経過しているなら、万が一のことを考え、司法書士へ依頼することをおすすめします。