司法書士へ債務整理を委任した場合、当然ですが司法書士は業務を行う義務が発生します。
しかし、依頼者である債務者も契約の当事者であるため、「してはいけないこと」が存在します。
今日は、依頼者側の債務整理事件の義務についてお話をしようと思います。
まず、債務整理依頼後に債務者がしてしまう禁止行為の代表が「新たな借り入れ」です。
よくあるパターンとしては、このようなものがあります。
1.債務整理依頼時に、司法書士へ明かしていない金融会社があり、そこからの借り入れを続けてしまう。
2.自分では新たな借り入れができないので、配偶者・友人などに頼み、カードを借りる。
3.友人・親族に借り入れをする。
このようなパターンがよくあります。
このようになってしまう原因の多くは、「無理のある支払い計画」に起因します。
これまでHP内でお話してきたように、司法書士は債務者との面談時に支払い原資(毎月支払いに回せる金額)を聞きとります。
しかし、多重債務に陥っている方の多くは、支払い原資を楽観的に考える傾向があります。
「毎月5万円ぐらいなら払えると思う。」のように安易に原資を決めてしまうと、いざ返済が始まった時に、「いざ返済してみると生活が苦しい」という状況になってしまうのです。
そして、自分が司法書士に支払い原資を伝えたためか、生活ができなくなっている状況を話すことができず自分で解決しようと新たな借り入れをしてしまうのです。
司法書士に債務整理を依頼している時点で、自力での生活再建は非常に困難な状況です。
また、支払い原資に変更があり得るのも、専門家として当然把握しています。
もし返済開始後に生活が苦しくなった場合も、依頼した専門家にしっかりと頼ることが大切なのです。
司法書士としても、自力で解決しようとして状況が悪くなるぐらいであれば、早めに報告をもらい、再和解した方が楽です。
必ず依頼した専門家に最後まで頼り切るようにしましょう。
次に、禁止行為という程でもありませんが、債務者は契約の当事者として「司法書士からの連絡に対応する」ことが必要になります。
これも、状況が悪くなっている債務者によく起こるのですが、入金が遅れていたり、必要書類の提出がされない場合には司法書士として債務者に連絡をします。
しかし、その連絡に応じず、折り返しなどの対応も全くしない方がおられます。
司法書士は債務者の味方であり、司法書士からの連絡によって債務者の状況が悪くなることはありません。
こういった理由で入金ができない、書類が提出できないといった報告をすれば、見捨てずに最後まで支えていくのが司法書士です。
音信不通にしても何の解決にもならないので、必ず専門家からの連絡には応じるようにしましょう。
以上が、債務者側でよく起こる禁止行為の代表的なものです。
次回は、これらの禁止行為が起こってしまったらどうなるのかについてお話しようと思います。